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 新聞を読んでいて、久しぶりにクラッときた。卒倒しそうになった。感動した(小泉ライオン髪ふう)。引用する。

 「大阪府立和泉高校の卒業式で、国歌斉唱の際、教職員が本当に歌っているかどうかを、校長が口の動きで確認していたことがわかった。口が動いていなかった教員のうち、1人が歌わなかったと認め、府教委が処分を検討している。国歌起立条例を提案した地域政党・大阪維新の会代表、橋下徹・大阪市長は『服務規律を徹底するマネジメントの一例』と絶賛。しかし、その徹底ぶりに反発もある」(読売新聞)

 報道を見ると、教頭が全教員の口の動きを目で確認。3人の教師の口が動いていなかったことを突き止め、校長にご注進した。校長が3人に問いただしたところ、2人は「歌った」とシラを切り、1人は「起立だけでよいと思った」などと眠たいことを言ってのけたのだとか。

 この校長は橋下氏の大学時代からの友人で、米国で弁護士もしている。橋下氏は「そこまでやっていない大阪の高校の方がおかしい」とも話しているらしい。

拡大ボクシングの亀田大毅の試合前、君が代を斉唱する橋下徹・大阪市長(右)と松井一郎・大阪府知事。2人はちゃんと歌ってました=2011年12月7日

 橋下さん。さすが。大統領! やるなら、徹底してやらなければならない。

 そこまでやるなら、もう、どんどん突き詰めていきまっしょい。各校の校長も、よろしく忠誠を競い合い、徹底的に、原理主義的に、君が代斉唱マネジメントに参加すべし。

 だいたいだなあ、大阪府(市)の君が代起立斉唱条例は「府(市)立学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱を行うものとする」と定めてある。

 卒業式や、きたる4月の入学式だけではない。運動会なんかでも君が代斉唱はあんだろ? 徹底して、斉唱をチェキラーするのだ。

 問題の和泉高校では教頭が口元をチェックしていたというが、教頭自身はきちんと斉唱したのか? 教師の口元を盗み見しながらでは、自分の斉唱に気合いが十分入らなかったのとちゃうか? 

 教職員はすべて起立斉唱しなければならないのであるからして、ここはあらたに大阪市で「歌のおじさん」みたいな公務員を募集し、彼らにチェックさせるべきである。雇用対策にもなる。

 もっと言やあ、口の動きを見てチェックという方法が、生ぬるい。エア君が代、くちパクだったらどうするんだ!

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筆者

近藤康太郎

近藤康太郎(こんどう・こうたろう) 朝日新聞西部本社編集委員兼天草支局長

1963年、東京・渋谷生まれ。「アエラ」編集部、外報部、ニューヨーク支局、文化くらし報道部などを経て現職。著書に『おいしい資本主義』(河出書房新社)、『成長のない社会で、わたしたちはいかに生きていくべきなのか』(水野和夫氏との共著、徳間書店)、『「あらすじ」だけで人生の意味が全部分かる世界の古典13』(講談社+α新書)、『リアルロック――日本語ROCK小事典』(三一書房)、『朝日新聞記者が書いた「アメリカ人が知らないアメリカ」』(講談社+α文庫)、『朝日新聞記者が書いたアメリカ人「アホ・マヌケ」論』(講談社+α新書)、『朝日新聞記者が書けなかったアメリカの大汚点』(講談社+α新書」、『アメリカが知らないアメリカ――世界帝国を動かす深奥部の力』(講談社)、編著に『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』(文春文庫)がある。共著に『追跡リクルート疑惑――スクープ取材に燃えた121日』(朝日新聞社)、「日本ロック&フォークアルバム大全1968―1979」(音楽之友社)など。趣味、銭湯。短気。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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