2012年04月30日
<物語:1970年代前半の冷戦下、英国諜報部<サーカス>のリーダー、コントロール(ジョン・ハート)は、幹部の中に「腐ったリンゴ」、すなわちソ連の二重スパイ<もぐら>がいる、という情報をつかむ。が、コントロールは作戦失敗により失脚し、謎の死を遂げる。極秘に調査の続行を命じられたのは、かつてのコントロールの右腕、<サーカス>を引退した老スパイ、スマイリー(ゲイリー・オールドマン)。スマイリーはやがて、何人もの重要人物に接触する。
国内外に影響力をもち、一部では英雄視されている自信家のヘイドン(コリン・ファース)、時の権力者に追随して部内を巧みに泳ぎまわるエスタイス(デヴィッド・デンシング)、急進的な左翼思想の持ち主グランド(キアラン・ハインズ)、野心家の新リーダーで、<ウィッチクラフト情報=ソ連側の有益な情報>を掌握し権力を得たアレリン(トビー・ジョーンズ)ら、4人の<サーカス>幹部、そして、スカルプハンター(実働部隊)の面々、イスタンブール在住のソ連通商使節団員で、<もぐら>の情報と引き換えに西側への亡命を希望しているイリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)、などなど……。果たしてスマイリーは、これら敵味方の区別もつかぬ人物の中から、<もぐら>を特定できるのか――>
この映画のいちばんの見どころは、舞台背景のくすんだような色調の雰囲気描写と、諜報活動という闇の世界で暗躍するスパイらの、腹に一物(いちもつ)あるような、つねに気を抜けない感じを見るものに抱かせる風貌や言動だ。
たとえば主舞台である、牡蠣(かき)色の曇天が覆いかぶさるロンドンの陰うつな街路や、薄い外光や照明が暗い影と混じりあうスモークの焚かれた室内で、一癖も二癖もある諜報員らが、たがいに相手を探るような、牽制するような言葉をかわす(冒頭のブダペストや中盤のイスタンブールでも、空は終始、薄曇りだ)。これぞ、ホンモノのスパイ映画、というムードである。
とりわけ見事なのが、
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