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「非選抜アイドル」仲谷明香からみたAKB総選挙

鈴木京一 朝日新聞文化くらし編集部ラジオ・テレビ担当部長

 AKB48のメンバーの一人仲谷明香(20)による著書『非選抜アイドル』(小学館101新書)が、AKBにおける選抜総選挙の役割を冷静に分析している。

 過去3回の総選挙で仲谷は、順位も票数も発表されない41位以下に沈んできた。AKBの「顔」前田敦子の中学校のクラスメートでもある彼女は、2006年、3期生オーディションに合格したが、なかなか人気が出なかった。仲谷が取った「生き残り戦略」は「便利屋稼業」。レギュラーメンバーが公演を休んだときに、いつでも代役をできるように、歌やダンス公演を究めていった。

AKB48選抜総選挙で36位となった仲谷明香=2012年6月6日、日本武道館

 そして2009年、第1回総選挙が行われ、選外に。選挙前の仲谷は、投票により人気不人気が明確になることを恐れていたが、終わってみれば、非選抜メンバーに「以前よりも、しっかりとした居場所が与えられるようになった」という。

 「『勝負』というものは、勝者のみならず敗者に対しても、その存在意義を明確にしてくれる」というのだ。「アイドルが輝きや価値を持つためには、競争に打ち勝つことが不可欠なのだけれど、そこに欠かせないのが、その勝者に敗れる敗者という役割」だからだ。

 しかしただの敗者ではダメだ。「勝者に輝きと価値をもたらすことのできる敗者が、敗者としての存在を許される」。「非選抜メンバーは選抜メンバーを輝かせ、価値をもたらすために全力を尽くさなければならない」なんてくだりは自己啓発書みたいだ。実際、版元のWEBサイを見たら「生き方・自己啓発」に分類されていた。この人将来、マネジメント側に回ってもいいのではと思う。今年の総選挙で、仲谷は選抜圏内の36位に滑り込んだ

 AKBに限らず、女性アイドルグループのメンバーの発言を見ると、

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