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高橋克也容疑者についてのロマンチックな想像

青木るえか エッセイスト

 オウム真理教の高橋克也が逮捕されて、指名手配写真がいろいろ問題になっている。いくら17年前とはいっても、手配写真と現実、違いすぎ。トシとった想像図もまるっきり方向が別だよ! ということで、今後、いろいろな改善策が図られるのだろう。太る、痩せる、ハゲる、その他の変化をつけ加えた似顔絵を作成する、というような。

 しかし、その改善策はたぶん私の琴線には触れないと思う。

 というのも、今から何年前だっけ、弘前の武富士強盗放火事件というのがあって、この似顔絵がよくできている、と評判になった。

 この似顔絵には二段階あって、まずラクガキみたいにラフに描かれたもの。そのラフなやつを元にして、陰翳をつけ、色をつけそれらしく整えたもの。この第二弾の似顔絵がやたらホメられていた記憶がある。そして、最初の、ラクガキみたいなやつが笑いものになっていた。

 ええええーーー?

 まず、逮捕された犯人と、第二弾の似顔絵はたいして似ていない。そして、ラクガキ状第一弾のほうが、ラフなれど、犯人の実態に迫っていた、ぜったい!

 このあたりは、「弘前 放火 武富士 似顔絵」でGoogleのイメージ検索していただけますと第一弾似顔絵、第二弾似顔絵、犯人の顔写真と出てまいりますので、よかったらご覧になってください。その中で、第二弾と犯人の顔並べて「これって似てるのか?」とキャプション入れてるのがあって笑った。

 似てないんです。

 第一弾も、顔写真横に並べたらいろいろ違うところがあるのだが(でもそれは当たり前だ、ラクガキなんだから)、それでも第二弾よりも、犯人の顔の本質を(まだしも)衝いていると思う。

 絵の場合、違うのに似てる、ということがある。表面上のところだけ同じにしても真実には近づけない。絵で、違わずに似る、というのは、おばあちゃんの家の、仏間の鴨居にかけてあった先祖の白黒肖像画、ぐらいいかなければダメだと思う。

 そもそも警察の似顔絵で、絵としてマトモなのがあったためしがない。テレビのヒマネタで「警察官の似顔絵の訓練です」とかやってるのを見るが、モデルを前に練習してる絵がチラッと映る。どんな人もため息が出るほどヘタ。美大の人が警察に入るってこともあるだろうし、そうじゃなくても同人でマンガ描いてる警官とかもいるんじゃないのか。なんでああなっちゃうんだ。……まあ、真面目な絵じゃないと叱られるってのがあるんだろうけれど。それから、OK出す人(=警察のエライ人)が絵のセンスがないのだな。

 このような調子ですので、いくら指名手配の似顔絵に新機軸が取り入れられても、犯人検挙率は上がらないと思います。

 で、オウムの高橋が麻原(彰晃=松本智津夫死刑囚)のマインドコントロールが抜けていない、と今もテレビのワイドショーでわーわーやっている。

 麻原の説法のテープを持ってたとか、麻原の著書を持ってたとか。なるほど。

 極めつけは、麻原とのツーショット写真持ってたという話。

 ああ。

 ああ。それはわかる。かもしれない。

 ツーショット写真で何かこう、わかったような気持ちになりました。

 高橋はきっと、オウムの教義がどうとかよりも、 ・・・ログインして読む
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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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