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【2012年 テレビ ベスト5】 あの時のあの出演者のあの表情

青木るえか エッセイスト

 テレビは常につけているけれど番組は熱心に見ているほうではないので、「今年のテレビ」とか言われた時に番組名が思い浮かぶことがあまりなく、あの時のあの出演者のあの表情、というようなものになってしまい、わかりづらいかとも思いますが、思い出したものを書いてみます。

 といいつつ、最初はキッパリと番組名挙げます。第5位『無垢の島』

 これはNHK大分局が制作して2010年、大分だけ、次に九州だけで放映したのを、この春に全国地上波で放送した単発ドラマ。

 いかにも「NHKの地方局が丁寧につくりました~~~~」と言わんばかりの、地味ながら滋味溢れる心のふれ合いドラマそのもの。ふだんの私なら5秒見て「ケッ」とツバ吐くようなドラマなんだけど、どういうわけか見入ってしまって、しまいにゃ涙をこらえる始末。

 主人公の柄本佑(柄本明の息子)。確かこの人、大河『風林火山』に武田信玄殺そうとする坊主の役で出てきて、開いた口がふさがらないほど演技が下手だったという印象があり、このドラマでもそこに変化はないのだが、「ヘタなナチュラル演技のようなしゃべり方をしてしまう若者」という役どころがぴったりはまってまして(というかそれしかできないんだろうが)、そこにからむ小学生の男の子とおばあちゃんも、ほんとにそのへんにいそうな感じのいいふつうの人たちで、いずれこんな風景も消えてしまうのだなと思うと涙がジワジワくるのであった。ま、リアルとかふつうとかいったところで、こんな現実は実際にはありゃしないんだけど。

 それでもこういうドラマをつくれるというのはNHKの地力である(ただしこのドラマ、ふたたびDVDとかで見たら「あら? この程度だった?」ってことに、ものすごくなりそうだ。「本放送(というかテレビで)でしか見てはいけないドラマ」というのはあると思う)。

 第4位は『Rの法則』。NHKのEテレがお送りします夕方のバラエティ番組。ほんとくよくあるバラエティで、ホメるところのないような番組ですが、これに「R’s(あーるず)」という、レギュラー出演陣がいまして、だいたい「それほど一線級じゃないアイドル」が日替わりで出てきます。この中に、私が贔屓にしているHKT48の多田愛佳というのがいるので、それで見るようになったのだ。

 とにかく「誰でも考えるような中高生向けバラエティ」で、「若者の恋バナ」みたいなのもよく扱われるテーマだ。

 しかし! 私のらぶたん(多田愛佳の愛称です)は「恋愛禁止のAKB(今はHKTですけど)」の所属なので、こういうテーマの時はあまり口もはさめず、ただ口をへの字にして(この人は、気をぬくと口がへになる)だまって座ってるだけで、AKBでもどんどん総選挙の順位が下がり、今や“博多に都落ち”的な状況を肯定してしまうような絵ヅラがよくお茶の間に流れることになっちゃうのだ!

 毎回「今回のネタはなんだろう」と気を揉みながら見ている次第です。なるべく恋バナはやめてほしい。でも恋バナとかに関係ない、らぶたんが好きだと言い張るアニメ関係の話題でも、その時はなぜか欠席していたり、出てても話を振ってもらえなかったり、たまにカメラに抜かれたと思うとまた気の抜けた表情(気は抜けても顔は何か空気がたまったようにふくれるのが特徴)だったりして、どうもうまくいかない。でも、貴重な「日本中どこでも見られる地上波らぶたん番組」なので、今後も注視する所存です。

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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