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【ポスト・デジタル革命の才人たち】 「食べログ」村上敦浩さんインタビュー(下):ソーシャル機能の可能性

聞き手=服部桂(朝日新聞社ジャーナリスト学校シニア研究員)

 ――人気が出てきて食べログの評価が高まると、口コミの評価を勝手に操作する「やらせ業者」が出てきて社会問題化しましたね。

村上敦浩 2011年ぐらいから、「食べログのランキングを上げてやるから金を払え、という不正業者からの売り込みがあり困っている」とお店からの報告があり、非常に困ったことになったと思っていました。点数自体を操作することは極めて難しい仕組みをとってはいますが、意味のない「やらせ口コミ」が投稿されているとあっては、信用が低下して誰も使ってくれなくなります。そこで、こうした悪質な業者の存在が明確になったものについては、随時警告文を送り法的措置も講じようと準備し、信頼を回復しないといけないと考え実行しました。

 また、レビュアーに、本人確認ができるよう任意で携帯番号を登録いただくという大手口コミサイトでは初となる携帯番号認証も導入するなど、不正業者の投稿が点数やランキングに影響できない対策を徹底的に行いました。

村上敦浩(むらかみ・あつひろ) 1975年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、アクセンチュアにて、CRM・SFA領域のコンサルティング活動に従事するかたわら、Neutrinoというユニット名で、米Mushレコードよりアルバムをリリース。その後、音楽活動を休止し、株式会社カカクコムへ入社。グルメサイト「食べログ」を2005年3月に立ち上げ、現在、月間利用者4000万人以上の人気サイトに育てる。現在、取締役食べログ本部長兼カスタマーサービス部長兼新規事業部長=撮影・佐藤類

 食べログの点数は5点満点で、レビュアーの方たちの付けた点数から自動的に算出されるようになっています。3.5点以上の店は行って間違いのないレベルと考えていいと思いますが、それはレビュアーの付けた点数を単純平均したものではありません。

 今回の問題でも、意図的に高い点数を付けても、そのレビュアーの方がどれだけそのジャンルの店に詳しいかなどを判断し、きちんと評価している人の点数をなるべく正確に反映させるようにプログラムの精度をさらに高めました。

 そして、専従スタッフを増員して、不正な口コミが投稿されていないかを「人間の目」で常時確認するようにしています。ですから、現在でも点数はかなり精度の高いものをキープできていると自信を持っています。

――食べログでは店の検索以外にどんなサービスがあるのですか。

村上 通常利用や会員になって投稿することは無料ですが、毎月315円を払っていただくと特別な割引特典を受けられるプレミアム会員になれます。まず通常より大幅な割引のある、会員限定のプレミアムクーポンが使えます。原則1店舗1回だけですが、最大100%割引もあります。現在は2000店ほどが対応しています。またケータイやスマートフォンを使った多彩な検索が可能になります。現在は12万5000人ほどの会員がいらっしゃいますが、食にこだわりのある方にはぜひ会員になってほしいですね。

 また2012年2月には、食べログから直接お店をオンライン予約できるサービスも開始しました。これは会員にならなくても誰でも使えます。24時間いつでもどこでも予約ができるため、お店にとっては「繁忙時にせっかくの電話をとれない」、ユーザーにとっては「電話しても誰も出ない」「何件電話しても満席」といったことがなくなり、双方にメリットのあるサービスです。

――最近はフェイスブックなどのソーシャルメディアが人気で、ポータル型の検索サービスも影響を受けているのではないですか。

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