2013年01月16日
昭和20年1月1日からの日々を克明に追い、それとともに太平洋戦争の全貌をとらえようという壮大な試みが、『昭和二十年』である。第1巻刊行は1985年8月15日。最新刊の第13巻が、2012年の6月4日だから、その間、27年。
内外のさまざまな資料、それに無数の自伝や回想録、日記を駆使し、あの戦争の実態と、そのなかに隠された謎を解明しようとした分厚い、驚くべき仕事であった。頑張って、なんとか完結にまでもっていってほしいと思っていた矢先の訃報で、まことに残念である。
やや私的なことになるが、編集者・新聞記者、書店員の有志でつくる「いける本・いけない本」(2012年暮れに第17号発行)というミニ書評誌がある。
私自身もそこに参加しているが、数年前から、「いける本大賞」なるささやかな顕彰もはじめた。会員それぞれが思いを込めて(勝手に)、「これが今年の俺のイチオシ」を持ち寄り、激烈な議論のうえに決定する。
本に対する、しがらみのない、無償の愛(?)と自賛しているが、本好きの高じた遊びといわれるかもしれない。でもみな、結構、真剣なのである。
じつは、12年の特別賞に『昭和二十年』が選ばれた(賞品といってもささやかなもので、ワイン1本である)。しかし、鳥居さんにとても喜んでいただき、当日も寒いなか、ご出席いただいた。
その受賞スピーチで、開戦の年の夏、アメリカに対するもうひとつの案(乙案といっておられた)があり、その可能性に言及されていた。パーティでの席上でもあり、くわしくはお話になれなかったのであろうが、お元気な姿から新年早々の急逝はだれも想像できなかった。
立ち話した際、
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