2013年03月07日
見る者を当惑させ、ときに笑わせ、また挑発するような刺激的な作品が次々と登場するのが、会田誠の「天才でごめんなさい」展である(東京・森美術館、3月31日まで)。
1965年新潟生まれの現代美術家である会田誠のこの個展が、昨年末から今春にかけて東京で開催された美術展のなかで、もっとも面白く、かつ興味深い展覧会であることは間違いない。
そこには「僕は自分の生活空間も自分の脳の中も自分の作ってきた作品たちも、『散らかった状態』であることを望みます」という会田の感受性の束がうごめいている。
オヤジが畑で育ったバッグを大根のように掘り出して「今年もヴィトンが豊作じゃ~!!」と叫ぶ劇画調の『ヴィトン』、北斎が描いた春画をベースに『ウルトラマン』に登場するフジ隊員が怪獣と絡み合うアニメ調の『巨大フジ隊員VSキングギドラ』、廃墟のなか、ぼろぼろのセーラー服姿で日本国旗を持って立つ少女と、民族衣装姿で韓国国旗を毅然と持つ少女を描いた『美しい旗』(戦争画RETURNS)など、思わず立ち止まる作品が続く。
そこには「表現とはフィクションを作ること」という会田の創意が、さまざまなる意匠となって登場している。
こうした会田の作品は、またときに物議を醸す。今回も市民団体「ポルノ被害と性暴力を考える会」から抗議があった。会田の作品、とくに『犬』シリーズをはじめとする作品が「残虐な児童ポルノ」であり、「性差別」「障がい者差別」であり「公共的な美術館で堂々と展示され」「各界から絶賛されている」のは「異常」というしかないというのである。
会田誠が、きわどい表現をしているのは事実だが、こうした批判は
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