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いつも心に、「はらちゃん」を

大西若人 朝日新聞編集委員(美術)

 ドラマ「泣くな、はらちゃん」(日本テレビ系)が終わった。

 かまぼこ工場でさえない日々を送る越前さん(麻生久美子)が、日々の鬱憤をはらすかのように描く素人漫画の主人公が、はらちゃん(長瀬智也)。はらちゃんから見れば、作者の越前さんは、自分が生きる世界を形づくる「神様」ということになる。

 で最近、その漫画世界がどうもすっきりしないことから、神様のことを心配していたはらちゃんは、ひょんなことから現実世界に飛び出してしまう。

 漫画の中だけで生きていたので、漫画に出てくること以外は何も知らない。犬も猫も、働くことや、愛の意味も知らない。そんな純な存在が、少しずついろんなことを知って、越前さんのために奮闘、神様の気持ちも変えてゆく、というお話だ。

 長瀬は、「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」や「うぬぼれ刑事」に続き、またしても常識世界からちょっとずれた役を快演している。

 加えて、同じ枠で、前田敦子がロボット少女を演じた木皿泉作「Q10(キュート)」を連想した人も多いだろう。こちらも、異世界からやってきた純な存在が、主人公に自身を見つめ直させる存在として登場していた。

 さて、はらちゃんの最終回。

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