2013年06月15日
52年余り生きている。50歳で転職する前に「この会社のお金でできることは全部やって辞めよう」と思い、人間ドッグを受けた。すると、眼圧が高いと指摘され、以来、毎日、点眼している。そして、しみじみ思っているのが、眼圧を下げる薬を毎日さしちゃあ、もう終わりでしょう、ということ。何が終わりかというと、それは「恋愛」とか「男子」とか、そういう方面のことです、はい、というのが、わが基本スタンス。
と自分のことを書いてから、週刊ポストと週刊現代の「60歳以上になってもどしどしセックスをしましょう」大キャンペーンについて書く。あ、これも書いちゃうのですが、このキャンペーン記事、新聞広告などで定番中の定番になっていることは把握していたが、ちゃんと読んだのは初めて。女子だからってことでお許しいただきたく。
で、当該記事を2週分読んだ。最終的に思ったのは、「いやー雑誌づくりって、究極のサービス業だなー」ということだ。
52年余り生きているうち、20年余り雑誌をつくってきた。その大半が週刊誌。そんなヤツが何を今さら、と言われるかもしれないが、このサービス業としてのさじ加減が難しいのだと今さらながら思う。
週刊ポスト、週刊現代は日本を代表する「サラリーマン週刊誌」だけど、いまのサラリーマンがどんどん買ってくれるかというと、40代でもかなり怪しいから、次第に「元サラリーマン週刊誌」になっていっているであろうことは想像に難くない。
だから、簡単にいうとこのキャンペーンが「定年してもセックスしたっていいんだよ、人間だもの」という新手の相田みつをになるのは当然で、もっとあからさまに書くなら「勃たなくてもセックスしたっていいんだよ、人間だもの」キャンペーンである。
みつをは「だもの」で止めればいいが、サービス業はそこから先が勝負だ。
ふたつの雑誌の細かな手法の違いなどはあろうと思うが、「勃たずとも、射精せずともOK」と繰り返し唱えながら、60代、70代の男性の「成功(性交)体験」から入り、この成功性交は「相手を満足させている」がポイントで、それは誰でも可能だと思ってもらうべく、40代女性が実は「求めている」ルポや風俗嬢や女性官能小説家などスペシャリストによる「熟年男性とのセックスって好き」対談などで励まし、「心臓に負担にならない体位」とか「入りやすいホテル一覧」などの実用ページをつけるという構成は、ほとんど同じだった。
現在、私はシニア女性のための生活情報誌の編集長をしている。男性を登場させても、あまり反応がよくない。女性は、有名無名にかかわらず同性の体験、知見から自分の生きる糧を見つけたいのだなあと実感している。ただし例外が2人いる。
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