2013年08月29日
今年の夏は、『風立ちぬ』、『少年H』、『終戦のエンペラー』など、第二次世界大戦を扱った映画が日米両方で作られて話題になっている。それぞれ、ゼロ戦の設計者、戦時下の神戸の洋服仕立て屋の息子、戦後のマッカーサーの右腕として天皇を残すことに尽力したアメリカ人を主人公にした、これまでになかった視点から日本の戦争のもう一つの真実に迫った秀作だ。
ところが、現在、東京・渋谷のユーロスペースで上映中のドキュメンタリー『陸軍登戸研究所』の衝撃は、そんなもんじゃない。これを見たら、日本人なら確実に打ちのめされる。そしてその内容を、誰彼かまわず会う人ごとに話したくなる。
新宿区の戸山や川崎の登戸に旧日本軍の秘密研究所があったという話は何度か聞いたことがあるが、それ以上は本を読んだり調べて見たことがなかった。そしてこの映画を見て、一挙に盛り上がってしまった。
敗戦から60年以上たっているので、幹部は当然亡くなっており、10代で就職した末端の職員だった者がほとんどだ。彼らだって70代後半から80代ばかりで、中には病床で話すことも容易でない者もいる。
しかし、その口から出てくる内容は、衝撃のオンパレードだ。風船爆弾、怪力光線、秘密カメラ、毒薬、毒ガス、偽造紙幣、偽造パスポートなど、半分おもちゃのようにも聞こえる名詞がどんどん出てくる。
そもそも、登戸の約11万坪の敷地(東京ドームの9個分)に、
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