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「あまちゃん」とAKBにみるアイドルの資質とは?

西森路代 フリーライター

 「アイドルは運である」と、秋元康はことあるごとに言っている。「運をつかむためのテクニックなんてない」とも。自身の言葉の意味を確かめるかのように、AKBではじゃんけん大会も開催している。

 ところが、その考えはことAKBにおいては、どこかあてはまらないような気がしてしまう。2013年の総選挙で指原莉乃が1位になったが、彼女には「週刊文春」に写真が掲載されたことがきっかけで、HKTに移籍させられた事実があり、そんな一連の出来事を乗り越えての1位だった。

 これを、単純に「テクニックの関係しない運」によるものだとは考えにくく、不運は自身の力で乗り越えられるものなのではないかと思えてくる。「不運も運の中のひとつだ!」と言われたら、それも納得してしまいそうだが……。

指原莉乃さん=撮影・倉田貴志指原莉乃さん=撮影・倉田貴志
 指原莉乃に限らず、トークやリアクション、ファンへの対応など、自己プロデュースができる子が人気を得ていくことをよく見る。プロデューサーがひとりの人間のコンセプトや楽曲や売り出し方をじっくり練って送り出す時代と、全体のプロデュースはするが、その中で個性を出していくのは自分の裁量によるというグループアイドルの時代とでは、その人気の掴み方は違ってきているのだ。

 アイドルには、「運」が必要なのか、「努力」が必要なのかという問題は、NHKの朝ドラ「あまちゃん」にも描かれていて、秋元氏の話とリンクして見てしまう。

 ヒロインの天野アキは、母親の天野春子からすると、「地味で暗くて、向上心も協調性も個性も華もないパッとしない」女の子で、アイドルになろうなんて思ってもなかったのだが、「海女」をしているうちにネットで評判を呼び、親友の足立ユイとともに「ご当地アイドル」として地元で観光協会の協力をするうちに、全国区のプロジェクトであるGMT47のプロデューサー、通称・太巻にスカウトされ上京する。

 しかし、不運なことに、当初、本気でアイドルになりたかったアキの親友のユイは、上京するというその日に父親が倒れてしまい、上京を断念してしまうのだ。

 ここで、アキとユイは「運」によって明暗が分かれてしまう。というのは、秋元氏と同じ、「運はテクニックではどうにもならない」ということと同じであるし、アキは、昭和の時代のアイドルのデビュー秘話によくある、「友人に誘われてたまたま行ったオーディションでたまたま受かってしまった」というものと近いものがある。

 しかし、この「たまたまアイドルに」という流れは、ことグループアイドルの時代にはちょっと難しい。というのも、いまやアイドルは、友人に誘われて、「たまたま」なるものではなく、自らの意思でオーディションを受けるものであり、なった後は、自分の創意工夫でキャラクターを構築し、人の心を掴んでいかなくてはならない。先ごろ卒業した篠田麻里子がショートヘアなのも、グループ内で埋もれないための挑戦だというのも納得である。

 しかし、「あまちゃん」だって、そんな昨今のセオリーを知らないわけではない。もともとアイドルに憧れ、アイドルオタクだった足立ユイは、現代のアイドルのセオリーを熟知している。

 ふたりがまだ北三陸でアイドルを目指していた時代、ユイはアキに「アキちゃんはアイドルの素質あるよ。アイドルってね、可愛いだけじゃ駄目なの。可愛いだけの子なんて掃いて捨てるほどいるの! 可愛いだけの子を可愛くない子が追い抜いていく世界なの」と熱弁するシーンがユイがアイドルオタクであることを物語っている。

 こうした、ユイのように、

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