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アフリカを知るために(下)――人々に届く経済発展

福嶋聡 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店

 『経済大陸アフリカ――資源、食糧問題から開発政策まで』(中公新書)の平野克己は、今やアフリカにとって最大の貿易相手国である中国に注目する。

 中国とアフリカの関係には長い歴史がある。アフリカの植民地解放闘争を支援していた中国共産党は、共産圏が崩壊したいま、独立闘争を支援したと主張できる唯一の存在である。

 そうした背景もあるが、それ以上に、経済大国化によって資源需要が増大した中国が、その視線をアフリカ内の問題よりもアフリカの経済資源に向けたのは自然な方向だった。紛争と貧困にまみれたアフリカの状況を少しでも改善して国際社会の負担を軽減することを目指した欧米の援助政策を尻目に、中国は「われわれはアフリカを必要としている」というメッセージをくりかえし発してきたのだ。

 その結果、20年にもおよんだ経済低迷のなかで抑圧されてきた消費意欲に火がついたサブサハラ・アフリカの消費爆発は、その多くを中国製品によって支えられることになった。

 実は、サブサハラ・アフリカ諸国の穀物輸入を合計すると、その量は世界最大の輸入国日本を凌駕している。農業就業比率は60%であるにもかかわらず、である。可耕地・人口比率に反して穀物輸入地域になっているアフリカの経済社会を世界一般とわかつ最大の相違は、食糧生産性の格差なのだ。

 生産性の低さとは、即ちコストの高さである。物流のためのインフラも整っていないことが、益々コストを押し上げる。生産物が売れないだけでなく、賃金も高い。アジアの開発途上国の投資誘因である「安くて豊富な労働力」がアフリカには存在しないのだ。

 負のスパイラルである。アフリカの人々の生活は、どんどん貧しくなっていく。日本では「味の素」が

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