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メニュー偽装事件、食材の区別もつかないのにカネを請求する恥ずかしさ

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

 10月22日付の夕刊各紙に載った「阪急阪神ホテルズのメニュー偽装事件」関連の報道が、まだ続いている。私も最初は「そんなこともあるだろう」くらいに思ったが、続報が毎日のように新聞を賑わし、1週間後の朝刊で1万人以上が払い戻しを請求したという話を読んで「何を馬鹿な」と思った。

 先週の「週刊新潮」には、「『阪急阪神ホテルズ』にたかる関西人」としてその請求のさまが書かれていた。この数日は、ほかのホテルまでメニュー偽装を公表したことが報じられている。

 もちろん一般論としては、騙すのはよくない。芝エビがバナメイエビで、九条ネギはただのネギ、霧島ポークが別の産地のポーク、手捏ねハンバーグが手捏ねではない既製品云々。書き写していて馬鹿らしくなるが、これにみんなが引っ掛かった。

 しかしこれはマンション建築の偽装とは根本的に違う。そこに生命の危険はまずないからだ。どちらかと言うと、「泣ける映画」という宣伝文句につられて見に行ったが泣けなかったというのに近い。もちろん芝エビが存在するのは事実だが、食べても区別がつかない人には宣伝文句でしかない。

 今はスーパーでも「岐阜の田中さん農家の手作りトマト」などといったコピーが氾濫している。しかし長年料理を作り慣れた人ならば、そんな表示にはひっかからない。野菜も肉も魚も見れば鮮度やおいしさがわかるものだ。そうでなければ、自分が信用できる八百屋やスーパーに行くしかない。

 そもそも美食の世界では、ホテルのレストランや料亭の評価は極めて低い。ミシュランだってホテル内のレストランにはめったに星は出さない。ホテル全体の経営のために、料理人が思い通りに料理を作ることができないからだ。それ以上に、レストランに

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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

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