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【2013年 東京レストラン ベスト5】 なぜか『ミシュラン』に載らない店ばかり

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

(1)オルゴーリオ・デル・カザルタ(北イタリア料理、広尾、2012年5月~)
(2)ベポカ(ペルー料理、原宿、2013年3月~)
(3)クニオミ ル・ネオ・ビストロ(フランス料理、恵比寿、2012年3月~)
(4)膳楽房(中華料理、飯田橋、2013年4月~)
(5)サンジャン・ピエドポー(バスク料理、渋谷、2013年2月~)

 映画や美術と違いグルメは全くの素人だが、それでも社会人になって30年近く自腹で東京中を食べ回っている自信はある。そんな私が今回選んだ基準は、ここ最近できた店であること(今年のベスト5なので)、夜に料理だけで5000円までで食べられること、居心地のいいことくらい。それから、様々なジャンルの店になるよう配慮した。

 結果としては、なぜか今年のミシュランガイドに載っていない店ばかりになった。今年は、『ミシュラン』が初めて星なしの店を「ビブグルマン」として157軒加えたので久々に買ってみたが、まさに玉石混淆でむしろ混乱は増した感じ。いずれにしても、高くて豪勢な高級店となぜ載ったかわからない店が混じっている。

 「オルゴーリオ・デル・カザルタ」をあえて「イタリア料理」としたのは、シチリアなどの南イタリア料理とはずいぶん違うから。シエナの名店の日本支店だが、店の雰囲気も料理もまさにトスカーナ。4~6人で行ったら、「フィレンツェ風骨つき炭火焼ビーフステーキ」がおススメ。野生味溢れる本物の肉の味が味わえる。前菜では、三元豚の首と鶏のキモをキャンティワインで漬け込んだという「パテ」が出色だった。それからやはりトスカーナらしく、「ピチ」という名の手打ちのもちもちのパスタも是非。

 ここ2、3年前から北イタリア料理の名店が増えたので、選ぶのにずいぶん迷った。「オステリア アッサイ」(松濤)の冬の「白トリュフのリゾット半熟卵添え」は抜群だし、「ヴェーリ神楽坂」(神楽坂、「エノテカ・ラウラ」改め)の「ボリートミスト」(イタリア風おでん)も忘れがたい。

 イタリア料理全般で言うなら、「リストランテ クロディーノ」(銀座)が一押し。5000円のコースの内容とお店の雰囲気やサービスの良さは信じがたい。あるいは「インカント」(広尾)は、豚足や豚耳のサラダなどメニューに並ぶ北から南までの個性的な単品にいつも驚く。どちらも押さえた照明の静かな雰囲気の店でデート向き。

 世界的な流行を見せているペルー料理は、2012年にここで「ナスカ」(乃木坂)を選んだ。雰囲気が今一つというのがその店の欠点だったが、「ベポカ」はまさにそれが克服された感じのお洒落感溢れるレストラン。外見はペルーの素朴な一軒家のようで、中に入ると赤と黒のシャープな内装が広がる。

 料理も品数が多く、日本料理に影響を受けたという「セビーチェ」だけで6種類もある。「カウサ」とか「ロモ」とか初めて食べる料理ばかりだが、店の人が親切に教えてくれる。ペルーワインも3000円代からあって良心的。東京にもっともっとペルー料理店ができて欲しい。

 最近、創作フランス料理を気楽な内装と値段で食べさせる「ネオ・ビストロ」が増えたが、「クニオミ ル・ネオ・ビストロ」は店名が表すようにその代表格。私が行った時は ・・・ログインして読む
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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

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