青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
やしきたかじんさんが亡くなられた。
亡くなったニュースを受けてのテレビやスポーツ紙の「やしきさんの偲びっぷり」には違和感がある。
ということを東京の人に言われた。やしきさんは東京嫌いで東京のテレビに出ないという人だったから東京の人はやしきさんをよく知らず、知ってても快く思わない人が多く、そのせいであの偲びぶりに違和感をおぼえると。その点、関西の人はやはりやしきさんを心のふるさとみたいに思っているのではないか、別の感慨があるのでは、と思われたようだ。私は大阪府民だ。
そんなことはない。やしきさんの歌を好まず、やしきさんの番組を見なかった者にとって、やしきさんの死についてこれほど偲ばれることには違和感がある。本拠地である大阪に住んでいるとその存在に触れる機会が多かったから、好きじゃなくても目や耳に飛びこむ率は高く、その思いは東京の人よりも強くなる。
やしきさんの歌を好きじゃないのは個人の趣味の問題であり、彼がああいう歌をつくり、歌ったのは彼の趣味の問題であり、単に「合わない」だけで、しょうがないことである。
番組について、『たかじんnoばぁ~』でこの人を見た時に、この人威張ってんなあと思って好きになれなかったが、テレビで威張ってる人など山ほどいるし(太田光とか松本人志とか)私が見なきゃいいだけのことなので見ないでいた。それで済むのでいい。
しかし、『たかじんのそこまで言って委員会』には看過できないものがあった。
今、ネットで「死んでここまで偲ばれるたかじんとはいったいどういうタレントだったのか」という疑問が呈されていて、「たかじんは『そこまで言って委員会』ばかり言われるが歌や話術その他で面白かった」ということが掘り起こされ紹介されている。
それはいいことだと思うし、私の知らなかった「やしきさんの面白さ」というのも知ったし、やはり合わないと思うこともあった。それは趣味の話なのでしょうがない。
なので、趣味の問題ではすまない『そこまで言って委員会』のことについて書く。
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?