宇佐美貴子(朝日新聞記者)
2014年03月14日
「いじめと闘うランドセル俳人」として注目される小林凜くんは、朝日俳壇で頭角を現した。初入選した2010年12月から現在までの俳句を、俳壇担当者として振り返る。
初入選したのは「紅葉で神が染めたる天地かな」。長谷川櫂さんの選に入った。
朝日俳壇には毎週5000通以上のはがきが寄せられ、選句会も毎週開かれる。担当者も全てに目を通すが、万象をまるごと捉えるような凜くんのこの俳句は目立った。内容のみならず、一字一字丁寧に書かれた鉛筆の幼い文字は見覚えがなく、すぐに初投稿だと分かった。9歳と書いてあった。「小学3年生が作ったのか。選者の皆さんはどう思うかな」と翌日の選句会が楽しみだったことを覚えている。
そして、長谷川櫂さんの目にとまった。選を終えた長谷川さんは、「スケールの大きい句だね。驚いた」と感想を述べた。
その後、「影長し竹馬のぼくピエロかな」(金子兜太選、11年2月)、「黄金虫色とりどりの動く虹」(長谷川選、11年6月)、「ブーメラン返らず蝶となりにけり」(長谷川選、11年7月)、「万華鏡小部屋に上がる花火かな」(11年7月)と入選が続く。
「着想が面白い」「子供らしいところもあるが、完成した世界」と選者たちも舌を巻いた。こんなに頻繁な入選は大人でも珍しい。どんな環境で俳句作りをしているのか、知りたくなった。
まず家族の意見を聞いてみた。「新聞に載れば、凜の励みになります」と、母の史さんは快諾してくれた。
大阪府岸和田市の自宅に行ったのが夏休み中の8月末。「大好きな昆虫や植物を見ていると自然と口から五七五が出てくる」という凜くんは、理科好きの男の子だった。
「国語の成績はよくない」という。
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