2014年05月10日
今期の朝ドラ『花子とアン』について考えながらテレビを(別の番組を)ぼんやり見ていたら、ハッとした。
その番組はNHKの土曜ドラマ『ロング・グッドバイ』。web掲載の特性を活かして番組サイトのリンクも張っておきます。
こういうのをやるとは聞いていて「うへぇ~」と思ってたんだけど、テレビ見てたらいきなり始まって見てしまったのでさらに打撃が大きかった。
だってあなた、
「脚本:渡辺あや、音楽:大友良英、原作:レイモンド・チャンドラー」
ですよ! この、選び抜かれたスタッフ! カーネーションとあまちゃんとチャンドラー! 出演者も主演が浅野忠信やら、田口トモロヲに小雪に古田新太! いやもう、このセレクトの隙のなさには窒息しそうになります。
チャンドラーの探偵モノを日本に翻案したドラマだが、この日本で私立探偵とか言われてもなあ。音楽も映像もあらすじも絶妙なカッコ良さなだけに、私立探偵はやめといてほしかった(関西人にとって、探偵といえば「機動調査の目川探偵」がまず思い出されてしまう。web掲載の特性を活かして目川さんのwikiページもリンクしておく)。
で、このドラマを見入っていて、気づいたのだ。
「コレだ、今の朝ドラ隆盛の元はコレだ!」
最近、「朝ドラが好調!」とか言われている。『あまちゃん』も話題だったけどそのあとの『ごちそうさん』はさらに視聴率よくて、そして『花子とアン』はもっと上! とかいって騒いでいる。そうなのか。
私は『ごちそうさん』は見てなかった。どうも乗り切れないな~と思ってるうちに話がわかんなくなってきて見なかった。それから、人気あったらしい東出昌大が、私にはかっこよく思えず……(ぜったい石野卓球に似てますってば!)。
だから、あのストーリーをどんなふうにドラマにしてるのかという興味、および先の展開がわかっているからかえって見やすいので、見ている。
作品としてのデキがいいかどうかはまだわからない。印象に残るのはともさかりえばかりではある。
この原案本を読んでみて「……なんか村岡花子って感じ悪いかもしれない。同じクラスにいたらぜったいいがみあってる」と思われる人物であった。
どういうところが合わないかというと、「信仰によって自信満々」みたいなところだ。そしてその自信からくる「強者の論理」を疑いなく押しつけてくるような……。会ったこともないのに勝手に好きだ嫌いだ言われるのは有名人のさだめとあきらめてください。
なので、『花子とアン』の主人公の花子はどんなヤツであろうか、という興味もあったが、朝の連続ドラマであるからそんなイヤなやつではなかった。そういえば、原案本に出てきた花子の父ってのが、この娘にしてこの父あり(逆だが)という、思い込みの激しいイヤなオヤジで辟易していたが、テレビのほうでは「愛すべき突進オヤジ」だったので、まあそりゃそうだよな、と安心した。
「葉山蓮子」という役名の、柳原白蓮がモデルの役も、まあ、こういうドラマによく出てくるエキセントリック美女って感じで、いかにもうすっぺらく、見飽きた感もあるが安心感もある。
私が『花子とアン』でいちばん腑に落ちないのは美輪明宏のナレーションであって、どうみたって「あえて“あの”美輪明宏を朝から起用!」なのはわかりきっている。だからナレーションが下手なのは、織り込み済みだろうからそれを指摘する気はない(見てるといちいち気になるけど)。それよりもどうして美輪明宏は朝ドラのナレーションなんか引き受けたのか、そっちのほうがわかんないんだよなあ。
ということで、『花子とアン』は、面白い、明日が待ち遠しい、ということはないけれどずるずる見ている、というような次第です。
こんな調子なので、「朝ドラが好調!」と言われても「そうなんですか」と思うばかりで実感はない。でも実際、視聴率もいいというネタを、新聞や雑誌の記事でいくつも見た。となると、その理由はなんだ!ってことになる。
簡単なことだと思う。
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