青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
野々村議員が目を据わらせて「サトウ記者! アンタには分からないでしょうけどね!」と叫んだのを聞いた瞬間、これでサトウ記者はしばらく食える、と思った。
いやサトウ記者は新聞社かテレビ局に勤めてるわけできっと高い給料もらってるかもしれない、でも契約記者かもしれない。そうだとすると、この「サトウ記者!」の叫びひとつで、7月一杯だった契約が半年伸びたかもしれない。とにかく、ワイドショーにサトウ記者がガンガン出るものだとばかり思っていた。
……が、サトウ記者、なかなか露出しなかった。
読売テレビの記者だということは、『ミヤネ屋』で宮根誠司が早々に「読売、テレビの、サトウ記者!」と言っていたので(たぶん会見の翌日ぐらい)、「事件への食いつきの速さ、下世話を恥じないシツコサ、という点で、ワイドショー中ダントツの1位を取る『ミヤネ屋』が、自局にサトウ記者を持っていたとなれば、これは毎日出演させて野々村話で盛り上がるに違いない! と思っていたのだがいつまでたってもサトウ記者登場せず。
いったいどうした、何か隠し球でもあるのか、それとも急に「記者には記者の本分がある」とか言いだしたのか……と、サトウ記者についていろいろ考えていたところ、7月7日、七夕の日に満を持して『ミヤネ屋』に登場した。「あの、サトウ記者が生出演です!」と!
ここまでひっぱって、いったいどう出るのか! と手に汗握っていたら、スタジオに来るんじゃなくて、いつも見るレポーターと一緒に、兵庫県議会の建物の廊下で話をするのだった。
それを見てわかった。しゃべり向きじゃないんだサトウ記者。読売テレビには珍しい(偏見ですが)いかにも感じの良さそうな記者で、「あの野々村が、オレの名前を名指しで叫んだんっすよ! 手柄っすよ!」みたいなイヤラシサに圧倒的に欠ける。
きっと上から「出ろ」って言われても「いやボクは……」と辞退してたんではないかと思われるような、そんなシャイなサトウ記者だった。あれ見たら「コイツは『ミヤネ屋』の下世話エッセンスにはなりえない」ということは局の人も宮根もわかっただろう。視聴者もよくわかった。サトウ記者はこれまでである。
野々村議員は……。最初、大阪維新の会にも日本維新の会にも無関係な「西宮維新の会(自分ひとり)」で当選したって話を聞いた時にはちょっと惹かれるものがあったのですが(ips森口系かと思った)、すぐに「どうも違う」と気づき、盛り上がらずに終わった。
野々村議員は、学校とか地域とかのコミュニティに1人ぐらいはいて「困ったヒトねえヒソヒソ」とされるタイプの人であって、自分に直接関係ない限りにおいては「キレればキレるほど面白がれる」ので、今回の号泣会見が人気出るのはよくわかる。
でもじき飽きるぞああいうのは。
あの、目を据わらせて「サトウ記者!」って言ったあの口調。あれは、記者会見の中で敵(野々村さんの認識としてはそうだろう)に囲まれて劣勢間違いなし、殉教者のボクという状況だったからああいう号泣になっただけで、あれは哀しくて泣いてるんじゃなくて、怒りのあまり言葉が言葉にならず怒りのあまり声がでかくなる、怒鳴りの一形態。
一瞬、病を抱えているのだろうかと考えたが、そういうのではないだろう。幼児がカンシャク起こして、暴れて発作みたいになってる、あれの大人バージョンだ。
大人のカンシャクは威圧になる。そのへんはわかってやっている。
つまり、野々村さんは思うようにならないとすぐ威圧にかかってくる人物であるということがよくわかる。相手が家族とかだったら、ますますカサにかかって怒鳴りまくる(or黙りこくって不機嫌貫くorことによると手が出る)にちがいない。
威張る男、威圧する男が生理的に受けつけないので、野々村竜太郎はダメ。
おまけに、問題になってる政務活動費の内容が
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