メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

『HERO』を見てるほとんどの人は、私のような人びとの群れ?

青木るえか エッセイスト

 前に当欄で「NHKの朝ドラが好調」なのは、新聞雑誌ネットその他が「NHKの朝ドラが好調」だと言ってるのでそれを聞いた人がその気になって「最近朝ドラええやん」と言ってるだけだ、と書いた。

 『HERO』はそれのさらにひどいやつだ。

 キムタクの『HERO』快調! っていうのを私は『HERO』を見ていないのにどっかで聞いた。

 この「どっかで聞いた」というのがクセモノで、これが出どころのはっきりした情報だったら「パブ記事だ、ケッ」とかいって捨て置ける(なぜか美容院で読む女性週刊誌の記事はするっと頭に入ったりするんだけど。美容院で読む時に限るが。今のところ、美容院の女性週刊誌で「キムタクの『HERO』快調!という記事は読んでいない)。

「花子とアン」(NHK)拡大「花子とアン」(NHK)
 「なんとなく聞いた評判」て、自分が聞いてそれを記憶して思い出したときに「なんとなく事実」みたいなことになるのだ。皆さん胸に手をあててよく考えてみてください。

 それでも朝ドラの時は、「確かに、まともor面白いor手のかかった作品が短期間に出てきた」のは事実。

 その後はどうかと思う展開で、『花子とアン』などはひどいだろう!という怒りがあるがそれはまた別の話。いやでもひどいよあの蓮子さんていうのは。

 『HERO』は、朝ドラの評判がよくなった原因であるところの「いっときの作品の良さ」みたいなものもなく、いきなり「好調!」とかいってるのであやしい。

 ちょっと前、キムタク主演でへんなSFドラマみたいなのやって視聴率が激低、キムタクもついにもう終わり、とか言われていて、それを聞いた時に「まだキムタクって人気あったのか~」とノンキに驚いていたので、今回の「やっぱり『HERO』はすごい!」ってのが「上げられたり下げられたり芸能人もたいへんだな」と思った。

 思ったんだが、『HERO』を見てると「あかんじゃろ、キムタク!」とハラがたった。いや、まあ、キムタクの責任ではなくてこういうドラマをつくる側が悪いんだけど。

 だってキムタクが検事ですよ。なーんかラフなかっこして、らしくない、偉そうじゃない検事で、職場で北川景子相手にへらへらして、被告にもあんまり高圧的に出ない、が、肝腎な時にはきびしく言い聞かせる。聞かせられたほうはそれで反省する。しんみり。

 検察を舞台にしたトレンディドラマだ。いろいろと設定はつけてるけど、ハンサムでやさしくて面白いけど仕事はちゃんとできる検事、きゃーすてき、ってのを見せたいだけのドラマ。それがほんとにすてきならいいけど、ものすごく絵空事っぽいんだもん。

 フジテレビのドラマの中にある世界、というのがある。 ・・・ログインして読む
(残り:約1043文字/本文:約2138文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

青木るえかの記事

もっと見る