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 こうして出現した「アトピービジネス」は、1990年代、ステロイド外用薬を使いたくないと考え始めたたくさんのアトピー性皮膚炎患者にとっては救世主のように映ったに違いない。

 ステロイド外用薬を処方する病院はもう信用できず、ステロイド外用薬を止めたために症状が酷く悪化しているところへ、「これをすればアトピー性皮膚炎は治る」と言ってくれる商品や治療が存在することは、患者にとっては大きな心の拠り所となったはずである。

 そして、だからこそ問題になったのが、こうしたビジネスの一部にとても高額な商品や治療を悪質な手口で販売するものがあったことである。当時の雑誌記事には、そうしたアトピービジネスを批判的に糾弾するタイプのものが数多くみられる。

 「NEWSクッキング イラストニュース解説 アトピー患者の弱みにつけこむ悪質商法にご用心 水道局員に見せかける、布団クリーニングを装った訪問販売などの手口」(週刊女性 1997.11.11)
 「アトピー性皮膚炎 ステロイド外用への誤解を背景に、氾濫する民間療法で被害が続出 他、巧妙化するアトピービジネス」(サイアス 1998.10.2)
 「専門医が警告! 『ステロイドの恐怖』で儲けるアトピー商法 アトピー治療薬・ステロイドの副作用や恐怖を植え付けさせ、カネ儲けをする悪徳商法の被害増大」(サンデー毎日 1999.3.21)

 さらに問題なのは、そうした高額商品を購入し

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筆者

牛山美穂

牛山美穂(うしやま・みほ) 大妻女子大学准教授(文化人類学、医療人類学)

大妻女子大学人間関係学部人間関係学科社会学専攻准教授。千葉県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了後、イギリスに渡りUniversity College London医療人類学コース修士課程修了。早稲田大学大学院文学研究科博士号(文学)取得。専門は文化人類学、医療人類学、ジェンダースタディーズ、カルチュラル・スタディーズ。現在の主な研究テーマは、医師と患者の関係、自助グループ、アトピー性皮膚炎をめぐる問題。主な著書に『ステロイドと「患者の知」:アトピー性皮膚炎のエスノグラフィー』(新曜社、2015年)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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