2014年09月16日
というわけで”反アマゾン法”が施行となっても、町の本屋さんはおろか、消費者の意識もさほど変わっていないようだ。
たとえアマゾンが5%割引を止めても、これまで通りに「タダ同然」で配達はしてくれる。はなから割引をしていない町の本屋さんと、本の値段はほぼ同じということだ。この10年の間に、書籍に限らずeコマースへの抵抗感は圧倒的に低くなったわけだし、仮に値段が同じなら、数クリックで配達をしてくれるアマゾンの方が、便利でいいかということになるだろう。
すると「反アマゾン法の影響は全く感じない。でも反アマゾン法はどうでもいいし、アマゾンの悪口を言ってもしょうがない。それより町の本屋についてもっと多くの人に知ってほしい。町の本屋とは、知識と経験に裏付けされた生身の人間が支えるフランスの文化遺産だと伝えて」とのことであった。
一方、消費者の意見も聞いた。
周りの友人は、「最近アマゾンで買い物をしたけど、変化に気がつかなかった」「法律が施行されたからといって心境に変化はない」「品揃えが多くて便利だから、アマゾンの利用は続ける」などなど、見事に、反アマゾン法の有名無実ぶりが伝わってくる反応ばかりだった。
そんな中、やっと一人、反アマゾン法を評価する人物もいた。この頼もしい友人は、「アマゾンの独占状態となるのは不健全だから大変良いイニシアチブ。私は独立系書店を助けたいから、普段から町の書店で本を買っている」と胸を張って答えた。
フランスにはこの友人のように、自国の文化大国という看板を誇りに思い、アメリカの独占状態を快くは思わず、心情的に町の本屋さんを助けたいと願う人も多いとは思う。
だがいくら町の本屋を応援したくても、結局は慌ただしい日常の中、早さ・安さ・便利さ・品揃えで他を圧倒するアマゾンへと流されてしまうのだろう。
かくいう筆者も、ここ数年でアマゾンを使う頻度が高くなった。もちろんアマゾンが脅威となり過ぎる状況には危機感を抱いているし、町の本屋さんを応援をしたい気持ちもある。
だが個人的な雑感を述べれば、ことフランスのリアルの本屋に関しては、サービスの悪さに閉口することも多い。残念ながら実際に足を運ぶと、「是非応援したい」という気持ちが萎えてきてしまうことがあるのだ。
例えば2年くらい前に、近所に洒落た感じの小さな本屋がオープンした。かねて近所に信頼できるなじみの本屋を持ちたいと思っていたので、すぐにミーハー気分で出かけてみた。
そしてお勧めの本を聞いてみた
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