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ほんとうにコワい、女性閣僚たち

青木るえか エッセイスト

 とにかくだらしないほうがいい。  

 というのは何の話かというと、私はきちんとした女の人がこわいのです。

 日本人として正しい女の人がこわい。

 もちろん日本人として正しい、などというのは「思想的に如何なものか」という物言いであって、それをひっくるめての「日本人として正しい女」がこわいんです。

 具体的にいうと「自民党政権で閣僚になる女の人」がおそろしい。副大臣に任命される人もその次ぐらいにおそろしい。

 何がどうおそろしいかというと……なんか劇団四季みたい。……これも唐突な形容だけれど。

女性閣僚に囲まれ、記念撮影に収まる安倍晋三首相(前列左から2人目)=3日午後7時52分、首相官邸拡大記念撮影で安倍晋三首相(前列左から2人目)を囲む女性閣僚たち=2014年9月3日、首相官邸
 ぱきっとメイクをして、はっきりと笑ったり怒ったり泣きながら、滑舌のすばらしいコトバでとうとうと意見を述べる、こっちの言うことは聞かない、……というあたりが、劇団四季の女優(のイメージ)と自民党女性閣僚のイメージに重なるわけです。

 何かを信じて澄んだ目で突き進んでくるのがこわい。

 そんな目をした、信じる人はいやっちゅうほどいるわけですが、うちの近所にいる、自宅の塀にどこかの企業への呪詛のことばを耳なし芳一のように書き連ねる老嬢はそれほど怖くない。この人が権力の中枢に行くとはあまり思えないし。

……などと書くと、自民党の女性閣僚が狂信者とかアブナイ人だと言っているようだ。そういうことはない。狂信者なんかは、自民党ではかえってやっていけないだろう。

 石破さんなど、目がこわいことこの上なく、テレビ討論で反論などされると、こわい目がますます据わってしまい、「こういう人には警戒すべきだ」と誰にでもバレてしまうのでダメなのだ(そのせいか、実はアイドルファンです、なんていう情報を出してきているが、聞いた人は「アイドル、大丈夫だったんだろうか……」とそっちのほうが心配になってしまったからあんまり効果はなかった)。

 自民党では、どっちかといえば「いかに自分の理想通りの=自分に都合のいい生活=私利私欲の追求ができるか」を目的として「生活運動を展開する」……というのが王道の活動だ。

 まあ、閣僚になるような人は「きっちりと末端で運動してくれる主婦を幻想の手下として、そのトップに君臨してる」ようなものだから、自分の掲げる旗に書いてあるスローガンとはまるで違う生活をしてたりするんだけど。

 小難しいことを書いたけど、とにかく「保守的な女の人」がコワい、っていう話です。

 今回登用された女性閣僚には「女性活躍担当大臣」なんてのもいて、地方都市の駅前の「暴力追放都市宣言の町」看板みたいな、つまり「我が国は女性が活躍していません」と内外に宣言するのはいいことだと思うけれど、自民党がそういう大臣を新設する、そしてその大臣が女だ、というのがむしょうにこわい。

 じっさい、その大臣になった女の人は夫婦別姓に反対してる、というようなツッコミどころがあるわけだけど、そういう保守反動がこわいというより、自信満々に微笑んで詰めよってくるサマがこわいのだ。

 ただ、この問題の女性活躍大臣の有村さんは、公式の写真だと自信満々の微笑みをたたえているが、テレビやネット上で動いたところを見ると、見た目がそれほど自信満々じゃないというか心の片隅に不安がありそうでオドオドして見える。

 いや、私なんかが何か言えば威圧してくるとは思うけれど。それでも、民衆を前にした感じがおどおどしてるので、女性活躍大臣はあんまりこわく感じない。そこまで計算してこの人事、だとするとたいしたものだと思う。たぶん違うだろうが。

 今回、組閣で私がいちばん衝撃を受けたのが「高市早苗が ・・・ログインして読む
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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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