2014年10月23日
今年初めて釜山国際映画祭BIFFに参加した。1996年にできた映画祭で、1985年に始まった東京国際映画祭TIFFよりも海外ではずっと評判がいいのというので、気になっていた。実際に行ってみて、「東京国際映画祭はこれを目指すべきだったのだ」と強く思った。
TIFFについてどこが問題かは既に5回連続でここに書いたが(【東京国際映画祭はどこがダメなのか】)、それがほぼすべてうまく行っているのがBIFFのような気がした。
大都市ではあるがソウルに比べると小さいし、美しい海岸を持っているのでカンヌやベネチアのような高級保養地の雰囲気もある。
公式ホテルの海雲台ホテルを始めとして、海に向かっていくつものホテルが並ぶ。
さらにカンヌ、ベルリン、ベネチア、トロントと同様に専用会場を持つ。
2011年にできた「映画の殿堂」は、4000人のメイン劇場に加えて4つの劇場がある。それまではTIFFと同じくシネコンを中心に開催していたが、この会場ができて映画祭として華やかさが加わった感じだ。
作品選定は、プログラム・ディレクターのキム・ジソクのもとに、6人の韓国人プログラマーが並ぶ。さらにアドバイザーとして、英国のトニー・レインズやイラン人で日本に滞在するショーレ・ゴルパリアンなど外国人が加わる。
彼らの選ぶ基準はHPにも「プログラマーからのメッセージ」に書かれているように「韓国を含むアジアのインディペンデント映画に光をあてること」。
オープニングはインターナショナル・プレミア(国外初上映=IP)の台湾映画『軍中楽園』で、クロージングはワールド・プレミア(世界初上映=WP)の香港=中国映画『ギャングスターの給料日』。
どちらも有名な監督ではないが、オープニングのニウ・チェンザー監督作品は、ホウ・シャオシェン製作の極めて質の高い作品だった。TIFFのオープニングがディズニーの『ベイマックス』であることを考えると、その差は大きい。
「ガラ上映」というセクションは、「特別招待」に近いと思う。チャン・イーモウ、アン・ホイ、モフセン・マフマルバフ、イム・グォンテクの4人のアジアの巨匠の新作が並ぶ。こちらはすべてWPでもIPでもないが、マフマルバフの『大統領』はベネチアで見て傑作だと思った。
このアジアの巨匠たちへのリスペクトぶりは、TIFFの「特別招待」が正月映画の顔見世上映になっているのとは大違い。
次に来るのが「アジア映画への窓」で、WPやIPを含む57本のアジア映画を上映する。
日本からは、塚本晋也監督の『野火』、
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