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[4]換金がおこなわれているなど、まったく存じ上げない

森巣 博 兼業作家・ギャンブラー

お願いします、オマワリさん

 じつは四半世紀以上も昔から、日本でカジノを合法化しようとする動きはあった。

 しかし公営競走賭博利権を握る諸官公庁、とりわけパチンコ利権を握る警察庁の強い抵抗にあい、そういった動きは水面下に追いやられてきたそうだ。

 ところが、このままいけば日本は財政面で沈没することが誰の眼にも明らかとなってしまった。

宮崎市のパチンコ店拡大パチンコ・パチスロは巨大産業だ=宮崎市
 景気・財政(税収)・雇用のどの面からも、カジノ産業の合法化は、有意な対策となりうるのだろう。

 真っ赤に焼けた石の上に、少量かもしれないが水が注げる。

 そこで水面下の動きが、一気に表面化した。

 それが、前述した2010年の「カジノ議連」の立ち上げだった。

 しかし、パチンコ利権を一手に握る警察庁の抵抗は執拗だ。

 日本では警察の不興を買うと、あとでとんでもないしっぺ返しをくらう。

 それゆえ誰かが、猫の首に鈴をつけなければならなかった。

 霞が関と永田町の一部の住人たちだけに甘い汁を吸わせ続け、このまま国家が緩慢にかつ確実に蟻地獄へ落ちていくのを傍観しているわけにもいくまい。

 なにしろ国家が破綻すれば、そこの住民たちが一番の被害者となるのである。つまり、当事者問題だった。

 これまで警察によって「指導」されてきた「パチンコの換金」は、いわゆる「三店方式」である。

 ホール→古買商→専門問屋→ホールといった具合に、古買商と専門問屋を通すので、パチンコ換金は違法ではない、と警察は主張する(古買商と専門問屋は実質上警察の天下り法人)。

 そ、そ、そんなバカな(笑)。

 同じ方式を、日本の大都市にはどこにでもあるカジノ・クラブが採用すれば、あっという間に警察のガサ(手入れ)が入り、1ヶ月ともたずに潰される。

 パチンコでの換金は、誰がどこから見たって明らかに違法なんだから、法律を一本通してそれを合法化させ、関連利権を公明正大にすべて警察庁に差し上げましょう。その代わり、他のゲーム賭博の公認化を認めてください、お願いします、オマワリさん。

 とするのが、今回のカジノ合法化に向けたひとつの戦略だった。

 (「カジノ議連」は)警察の裁量で換金が事実上認められているパチンコについてもカジノ法案と同じ仕組みで立法化していく方針も固めた。(中略)パチンコは現在、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)」で「遊技場」と位置づけられ、獲得賞球は、日用品などに交換することになっている。しかし、金地金などの特殊景品に交換し、外部の景品交換所で現金化されることが多い。現金化は「事実上の賭博」にあたるものの、警察が裁量で「黙認」しているのが実態だ。(以下略)(産経新聞 2010.4.14) 

 法治国家の取り締まり機構が、情けない。

 情けないのだが、現在そういった違法行為を摘発するはずの警察が、自分たちではおこなっている違法行為を、ここでは問うまい。

 だいたいパチンコでの換金行為について、警察庁の担当官は、

 「(三店方式での)換金がおこなわれているなど、まったく存じ上げないことでございまして」

 と自民党の「時代に適した風営法を求める会」の問いに、しらじらしく答えたそうである(「朝日新聞」2014年8月26日)。

 ウソつきは、オマワリさんの始まりです(笑)。

 しかし……、

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筆者

森巣 博

森巣 博(もりす・ひろし) 兼業作家・ギャンブラー

1948年生まれ。著書に『越境者たち』(集英社文庫)、『神はダイスを遊ばない』(新潮文庫)、『蜂起』(幻冬舎文庫)、『二度と戻らぬ』(幻冬舎文庫)、『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』(講談社現代新書)、共著に『ナショナリズムの克服』『ご臨終メディア――質問しないマスコミと一人で考えない日本人』(ともに集英社新書)など多数。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです