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[6]魑魅魍魎たちの仁義なき叩き合い

森巣 博 兼業作家・ギャンブラー

ボッタクリ賭博産業の衰退

 日本でカジノが公認されたとしても、新規の賭博愛好者たちがそれほど大量に誕生するとも思えない。

 ほとんどの場合、無茶苦茶に劣悪な環境下であるにもかかわらず、すでに存在し痛めつけられている賭博愛好者たちが、民族大移動のごとく大規模に、新規賭博産業たるカジノに移っていくだけなのではなかろうか。

 しかし日本でゲーム賭博産業が合法化されれば、ここ17年以上にわたり進行中の既存ボッタクリ賭博産業の規模縮小が急激に加速するのは、火を見るより明らか。

 したがって、「IR(=カジノ)法案」の成否には、莫大な利権が絡む。

 すでに怪しげな人たちが、既存権益を守ろうと、そしてこの新規利権に割り込もうと、大挙して永田町・霞が関界隈をうろついている。

 とりわけ「遅れてきた関係者」たちの暗躍は、目に余るそうだ。

 この場合の「遅れてきた関係者」たちとは、現在の日本の賭博悪環境下、既に利権を抱えている者たちを主に意味する。

 学歴も職歴も詐称しているらしい「カジノ研究者」なんていうお方まで、現れた(笑)。

 莫大な既存および新規利権が絡むと、永田町・霞が関の調整は手間取る。

 それゆえ、「IR(=カジノ)法案」の国会通過に、これだけ時間がかかっているのである。

 もう、哀れな賭博愛好者たちを喰いものにしようとしている狐と狸、そして業界利権にぶら下がろうと試みる永田町と霞が関界隈に棲む魑魅魍魎(ちみもうりょう)たちの仁義なき叩き合いである。

それが法律で禁止されているから「暴力団」が介在した

 PTA系の正義を叫ぶ人たち、および「良識派」メディアは、

 (1)「ギャンブル依存」の人間が増える。
 (2)カジノ周辺の治安・風紀が乱れる。
 (3)暴力団が介在する。
 (4)青少年に悪影響をおよぼす。

 以上の4点を主な理由として、ゲーム賭博(カジノ)の合法化に反対する。

 一見、もっともらしい主張だが、じつはどの理由もまったく説得力をもっていない。

 (1)は、ちょっと厄介な問題なので、最後にじっくりと検証しよう。

 (4)は、フシ(=言いがかり)をつけている、としか思えない理由なので省略する。「青少年に悪影響をおよぼす」ゆえNGとするなら、永田町と霞が関の「税金の還流システム」はどうなんだ?  公共事業でばらまいて、それを集票の道具にしているのどうなんだ?  「天下り」のシステムはどうなんだ?  「天下り」って、「あと払いの収賄」のことです。

るマカオの市街地。大勢の観光客が訪れて拡大多くの観光客が訪れるマカオの市街地
 これらのシステムは、短期的長期的に「青少年に悪影響をおよぼ」さないのだろうか。

 言い出したら、きりがない。

 だいたい、放射能まみれとなってしまった日本国土はどうなんだよおおう。

 うわずってしまったので、お水を飲みつつ、話を戻す。

 (2)は、セックスは大好きだけれど、ご近所にラブホテルの ・・・ログインして読む
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筆者

森巣 博

森巣 博(もりす・ひろし) 兼業作家・ギャンブラー

1948年生まれ。著書に『越境者たち』(集英社文庫)、『神はダイスを遊ばない』(新潮文庫)、『蜂起』(幻冬舎文庫)、『二度と戻らぬ』(幻冬舎文庫)、『日本を滅ぼす〈世間の良識〉』(講談社現代新書)、共著に『ナショナリズムの克服』『ご臨終メディア――質問しないマスコミと一人で考えない日本人』(ともに集英社新書)など多数。