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襲撃事件、パリ在住者が見た現地の空気(下)

「表現の自由」への侵害に団結したフランス国民

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

 シャルリー・エブド的な価値観は、皮肉な笑いを愛し、ユーモアを知性のなせる技とも考えるフランス人の細胞の一部であったと思う。彼らの死は、フランス国民の大事な友だちの死でもあったのだ。

 全てを笑い飛ばせることは精神の自由さと同義であり、その根底には平和への希求が流れていたはずだ。パリのアンヌ・イダルゴ市長は、事件後に「彼らは鉛筆とユーモアを武器にした素晴らしい平和主義者」だと語っている。

パリ市内で拡大“あ・うん "の呼吸でパリ市民が集まった=撮影・筆者
 近年は脅迫状も絶えず、火炎瓶が投げ込まれ編集部が全焼する事件もあった。

 タブーを恐れぬ彼らの風刺画は、危険過ぎるという声もたしかにあった。ジャーナリズムの世界で、風刺文化そのものが徐々に隅に追いやられる中で、だからこそシャルリー・エブドは「自分たちが頑張らねば」という気負いが必要以上に生まれていたのかもしれない。

 特にムハンマドのイラストを度々描いた編集長シャルブは、近年ますます先鋭化していたとも言われる。

 だが彼らとて別にマゾ集団ではない。危険と隣り合わせなのは百も承知だが、

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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

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