2015年01月21日
フランスでは、年々日本文化に対する熱が高まっているようだ。
BENTOやKARAOKEは、日本の広辞苑に相当するフランスの大辞典に載るほどにお馴染みの単語だ。
目下、寒中にもかかわらずパリの国立美術館グランパレ前では、葛飾北斎展(2015年1月18日迄開催)に入場するために長蛇の列が伸びている。
フランスは以前から、愛犬の名が「相撲(sumo)」のシラク元大統領を筆頭に、日本の伝統文化に敬意を払ってくれる人が多い。
そして近年は、とりわけ日本のサブカルチャーにも注目が集まっている。
2014年は日本文化をテーマとする恒例の博覧会「ジャパン・エキスポ」に、5日間で25万人の入場者が詰め掛けた。
しかし、である。
ますます右肩上がりの日本文化“熱 "に、ひとり取り残されている感があるのが映画だ。ここではすでに人気と評価が安定しているスタジオジブリやポケモンといったアニメ作品や、黒澤明、溝口健二、小津安二郎、今村昌平、大島渚などの古典の域にある巨匠作品は含めない。
フランスにおいて冬の時代を迎える日本映画の現在について問題にしたい。
さて “ひとり取り残されている "とは言っても、日本の映画が海外の重要な映画祭で受賞をすることは、決して珍しいことではない。
2013年はカンヌ映画祭で是枝裕和監督『そして父になる』が審査員賞を、2014年もベルリン映画祭で山田洋次監督『小さいおうち』に出演した黒木華が最優秀女優賞の銀熊賞、モントリオール映画祭では成島出監督『ふしぎな岬の物語』が審査員特別大賞を受賞した。
邦画が海外の映画祭で受賞する度に、日本で華々しく報道もされるから、もしかすると邦画は海外で高く評価され、人気があると感じられるかもしれない。
だが、現実はなかなか厳しい。
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