卓抜な色彩設計、マーガレットと夫の微妙な関係、当時の時代背景など
2015年03月11日
『ビッグ・アイズ』では、光線設計や色使いも秀逸で、室内のマーガレット/エイミー・アダムスは、しばしば軟調のぼうっとかすむような逆光ぎみの光の中に映し出され、またカーテンや床や壁の色もおおむね、ピンクや薄黄色や淡いグリーンなどの明るいパステル・カラー/中間色であり、少しだけ現実離れしたメルヘン調のテイストを出している(スモークが焚かれている場面も頻出)。
とりわけ、絵を描くことに没頭するあまり疲労困憊したマーガレットが、床に横たわって眠っている場面では、薄明るく柔らかい光が、仮死状態にあるかのような彼女をもやのように包みこんでいて、はっと見入ってしまう。
2000年に他界した元夫ウォルター――結婚10年目にキーン夫妻は離婚――が、彼女の絵やその複製を彼の名義で売ったことには納得がいかなかったが、しかし他方で、自分の絵が60年代初頭に一世を風靡(ふうび)した最大の理由は、元夫のTVのトークショーでの巧みな口上や、マーケティングの才であったことを認めている。
なお当時マーガレットは、1日16時間も絵を描いたという。
また彼女の絵を競って買い求めた客の一人に、あの目の大きな女優
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