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[2]性器やヘアがわいせつなのではない

3Dデータとアダルト業界の親和性、警察の関与の行方

北原みのり×竹信三恵子

拡大対談する北原みのりさん(右)と竹信三恵子さん

 竹信 少し「わいせつ」についてお話したいんですけど。私、以前、北原さんとお話ししてたときだと思うんですけど、女性をレイプするシーンを、男の顔を映すアングルで撮っていた映像を見て、北原さんが、すごい“素晴らしい"と思ったと言っていたのが印象的だったんです。なぜなら、レイプされる側ではなく、のしかかってきて、野蛮な顔をしている醜い男の顔を撮っていたから。こういう醜い暴力性や理不尽さというのは、被害者側の目線から撮ると、すごくよく分かる。

 北原 そうなんですよね。

 竹信 フェミニストにとってわいせつと言われるものの何が嫌かというと、こういうことなんです。暴力とか、女性が貶められることとか。性器とかヘアではないんですよね。でもなかなかそこは理解してもらえない。

ファンタジーで流通するロリコン

 北原 女の人権が守られていないし、意識そのものが日本は希薄。ロリコンの表現に関しても、私は色々と映像を見たんですが、小学生に見える成人女性が、お父さん役の男優に犯されるものがあったんです。その横で妻が睡眠薬で眠らされていて。そういうのがファンタジーとして流通してるんですよね。

 竹信 男たちから、「こんなのは別に買いたくないんだよ」という声が出てもいいと思うんですけど。だって、これだと男性性もすごく馬鹿にされているじゃないですか。お前ら、こういうのが好きだろう、って。好きでもない男性はいっぱいいると思うんですよね。

 北原 でも実際に売れている。少女に対する欲望が、それほどタブー感なく認められているのが日本。先日、アメリカから来た女性と一緒に秋葉原に行ったのですが、彼女はメイドカフェの制服にすらショックを受けてて、そのことに私はショックを受けました。私もずいぶん“慣れてしまっている"んだなって。

 竹信 わかります。

 北原 「クール・ジャパン」とか言われてるけれど……。

 竹信 水準がおかしいですよね。ロリコンとか暴力の表現がこんなに許されることって。つまり、女性とか子どもへの暴力が暴力と思われてない。

拡大北原みのりさん

 北原 ファンタジーとして許されている。成人女性の女性器作品で私は逮捕されましたが、女児を連想させる女性器なんて、ネットでも買えるし、男性向けアダルトショップでいくらでも陳列されてる。

 この事件が語られるとき、男性器はOKなのに、女性器は何故ダメなの? という人いるんですが、実際には男性器を表現した写真家だって逮捕されてる。そういう問題ではなく、論点は、作り物の幼女の性器がOKなのに、なぜ暴力性のないリアル性器はNGなの? っていう点だと思う。

 今回、私が逮捕された原因となったのは、女性器を象った作品で、19個押収されたもののうち、厳選された3個です。

 竹信 つまり、その3つがリアルな性器に見えたということね?

「大きいのは大丈夫」

 北原 その3個のうちの2つは、ろくでなし子さんの作品じゃないんですよね。他の女性がつくって置いていったもの。飾りが少なくて、確かに性器そのもの、に見えないこともない。

 例えば、ろくでなし子さんは自分の女性器の3Dデータを拡大して、リアルなカヤックを作っているんです。それは今回は逮捕容疑にはなっていないから、警察に聞いたんですよ。「あれはわいせつじゃないんですか?」って。そうしたら「あれは大丈夫。なぜなら、大きいから」って言われました。

 竹信 えっ!? 等身大の女性器は駄目なのに、大きすぎるものは、リアルじゃないからいいということ?

 北原 そうなんです(笑)。警察にとっては、女性器も男性器も関係ない。ビデオであれば何秒性器が映っていたとか、 ・・・ログインして読む
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筆者

北原みのり×竹信三恵子

北原みのり×竹信三恵子 

北原みのり 1970年生まれ。津田塾大学を卒業後、日本女子大学大学院で教育心理学を専攻(中途退学)。1996年、フェミニズムの視線で運営する海外のショップに影響を受け、女性向けアダルトグッズストア「ラブピースクラブ」をたちあげる。著書に『さよなら、韓流』(河出書房新社)、『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』(朝日新聞出版)、『アンアンのセックスできれいになれた?』(朝日新聞出版)、共著に『奥さまは愛国』(河出書房新社)など。 竹信三恵子 和光大学現代人間学部教授。東京生まれ。1976年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011年から現職。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、「女性を活用する国、しない国」(岩波ブックレット)、「家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)など。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。WEBRONZA筆者。