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[2]盟友・猿之助と愛之助、勘九郎と七之助兄弟

中川右介 編集者、作家

 名古屋・中日劇場では花形歌舞伎。中日劇場での公演は、市川猿翁が猿之助時代に開拓し定着したものだ。当代の市川猿之助がそれを引き継いだかたちになる。昼は猿之助の『雪之丞変化』と市川右近の『操り三番叟』、夜は片岡愛之助の『新・八犬伝』。

 猿之助と愛之助は浅草歌舞伎ではよく共演しており、その後も各地で共演する盟友関係にある。この後も、二人は5月の明治座に出る。歌舞伎座にはあまり出ない立場での盟友関係だ。

「雪之丞変化」より猿之助(右)と愛之助=中日劇場提供拡大『雪之丞変化』より市川猿之助(右)と片岡愛之助=提供・中日劇場
 猿之助は『雪之丞変化』では演出も担った(石川耕士との共同)。

 三上於菟吉原作で長谷川一夫の映画や舞台で知られる話で、この公演のために作られた新しい台本による上演だ。

 歌舞伎役者が主人公なのだが、この芝居そのものは、歌舞伎よりも大衆演劇に近い。

 劇中、『関の扉』の桜の精と、『本朝廿四孝』の〈奥庭〉の八重垣姫を演じてみせた。

 音楽は洋楽も織り交ぜており、その洋楽は生演奏ではなく録音なのだが、この劇場のスピーカーの音質がひどい。演出として、わざとひどい音質にしているのかと思うほど、ひどいものだった。

 東京でも、シアターコクーンのスピーカーの音はひどいが、演劇ファンはよく黙っているものである。改善してほしい。

 さて、『雪之丞変化』で猿之助は、やりたい放題、自在に演じていた。それにつられるように、中村米吉、中村萬太郎、中村隼人、中村梅丸、坂東巳之助ら平成生まれの若手がいきいきと演じていたのが印象に残った。演出家・猿之助の指導力の賜であろうか。歌舞伎座に大一座で出るときは、脇役の若手たちだが、かなり力をつけた。

 愛之助は昼の『雪之丞変化』に重要な脇役で付き合い、夜の『新・八犬伝』では4役を勤める大活躍。こちらでも平成世代がそれぞれ、大役をもらった。

 昼夜通して、米吉と梅丸の二人の美貌の女形が ・・・ログインして読む
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筆者

中川右介

中川右介(なかがわ・ゆうすけ) 編集者、作家

1960年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2014年まで出版社「アルファベータ」代表取締役として、専門誌「クラシックジャーナル」、音楽書、人文書を編集・発行。そのかたわら、クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲などについて、膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる独自のスタイルで執筆。著書は『カラヤンとフルトヴェングラー』『十一代目團十郎と六代目歌右衛門――悲劇の「神」と孤高の「女帝」』『月9――101のラブストーリー』(いずれも幻冬舎新書)、『山口百恵――赤と青とイミテイション・ゴールドと』『松田聖子と中森明菜――一九八〇年代の革命』(ともに朝日文庫)、『戦争交響楽――音楽家たちの第二次世界大戦』『SMAPと平成』(ともに朝日新書)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『角川映画 1976-1986(増補版) 』(角川文庫)、『怖いクラシック』(NHK出版新書)など50点を超える。

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