撮影現場でユンホのニックネームは「おばちゃん」だった!?
2015年05月15日
映画『国際市場(いちば)で逢いましょう』は、1950年代から現在までを生きた、決して特別ではない一人の男性の軌跡を描いた作品で、およそ60年にわたっての韓国、家族、父親がどういうものであったのかの一面が見える物語になっている。
この物語に出てくる家族に共感する韓国人は多く、その結果、韓国での観客動員数は1410万人を超えた。しかし、「一面」と書いたのは、家族や父親には、さまざまな形があるものであり、これからもその像は変わっていく、そして、韓国がその変化の真っただ中にいると思われるからだ。映画にも、そんな変わりゆく韓国を感じさせる描写もある。
この映画を演出したユン・ジェギュン監督に、そんな変わりゆく韓国の家族像について、ドクスという主人公を演じたファン・ジョンミンや、実在した歌手ナム・ジンを演じた東方神起のユンホの魅力について語ってもらった。
――ユン・ジェギュン監督は、自身のお父さんのことを書きたいというモチベーションからこの映画を作ったとのことですね。
でも、そんなところがドクスと父はそっくりなんです。でも、映画の中で起こる出来事はすべて事実に基づいています。だから、父が実際に経験したことではなくフィクションなのですが、キャラクターは父親に基づいてできているんです。
――ファン・ジョンミンさんは、「ユン・ジェギュン監督と自分は性格が似ている」とあるインタビューで言われていました。監督には思い当たる部分がありますか?
ふたりとも、田舎出身なので、その辺は似てるかなと思います。ファン・ジョンミンさんは馬山(マサン)という町の出身、私は釜山出身なので両者とも韓国の南東の出身ですし、ふたりとも正義感が強いですし、通じるところが大きいですね。
それに比べて私は内向的で小心者。でも、違うところがあるから余計に好感を抱いたりもするし、間が合ったりする。そういう意味でも非常にいい関係だと思います。
――監督は、こうしてお話ししてみても非常にソフトな物腰の方ですよね。映画を演出しているときも、同じ調子なんですか?
ファン・ジョンミンさんは、さきほども言いましたが、自分の父をモデルにした役を演じてもらいました。だから、父を思い浮かべながらディレクションをしたので、難しいことはなんらありませんでした。
私は映画の現場でも、今のように静かな調子で演出しています。だから、韓国で一番カリスマ性のない監督かもしれませんね(笑)。でも、静かな調子で演出しても、誠意を持って話せば通じるので、問題はないんですよ。
――さきほど、ファン・ジョンミンさんは血の気が多いと言われていましたが、そういう部分がドクスを演じる上で良い効果をもたらしたのではないでしょうか?
彼が演じたドクスは大きな出来事を目の前にしたときは怒ったりしないんですね。死を目前にしたときでも、ドクスの友人のオ・ダルスさんが演じたダルグが大騒ぎしていても、ドクスは淡々としていて冷静なんです。でも、なぜか些細な事件には熱くなります。
そういう身近な場面では熱くなる人って、すごく素直でピュアなんじゃないかと思うんですよね。家族のために犠牲になったり、自分が寂しいということには耐えられる。でも、「なんでこんなことで?」ということには頑固になってしまったりする。そういうところをファン・ジョンミンさんはうまく演じてくれたと思います。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください