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[6]再び『セーラー服と機関銃』について

藤崎康 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

 『セーラー服と機関銃』から『東京上空いらっしゃいませ』(90)までの相米慎二映画では、おそらく鈴木清順からもインスパイアされたと思われる、バロック的ともマニエリスム的とも呼べる、奇怪な空間造形が顕著になる(<バロック>は過剰に装飾された空間やオブジェ、<マニエリスム>は極度に凝った人工的な色彩・デザインのこと)。

 たとえば、「太っちょ」/三國連太郎のアジトの、宗教施設のような神殿風の造りの異様さはどうだろう(後述するように、実際「太っちょ」はある種の“神の代理人"を僭称している)。

 ――海に面したその奇態なアジトには、前衛アートのような赤、青、金色などに塗られた球体や方形のオブジェが置かれており、しかもヤクザの組員というより、まさしく怪しげな新興宗教の信徒のような、スキンヘッドで悪相の者らが配置されている。

相米 慎二相米慎二
 そして、そこで展開されるのが、これまた実に奇っ怪なドラマである。

 捕えられた泉は、前述のごとく、地雷の上に立たされるという過酷な拷問を受けるし、その後、「太っちょ」の娘・マユミ/風祭ゆきとともにドレスに着替えさせられた泉に、ディナーとして出されたのはなんと猿の

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