2015年06月09日
『セーラー服と機関銃』から『東京上空いらっしゃいませ』(90)までの相米慎二映画では、おそらく鈴木清順からもインスパイアされたと思われる、バロック的ともマニエリスム的とも呼べる、奇怪な空間造形が顕著になる(<バロック>は過剰に装飾された空間やオブジェ、<マニエリスム>は極度に凝った人工的な色彩・デザインのこと)。
たとえば、「太っちょ」/三國連太郎のアジトの、宗教施設のような神殿風の造りの異様さはどうだろう(後述するように、実際「太っちょ」はある種の“神の代理人"を僭称している)。
――海に面したその奇態なアジトには、前衛アートのような赤、青、金色などに塗られた球体や方形のオブジェが置かれており、しかもヤクザの組員というより、まさしく怪しげな新興宗教の信徒のような、スキンヘッドで悪相の者らが配置されている。
捕えられた泉は、前述のごとく、地雷の上に立たされるという過酷な拷問を受けるし、その後、「太っちょ」の娘・マユミ/風祭ゆきとともにドレスに着替えさせられた泉に、ディナーとして出されたのはなんと猿の
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