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 『セーラー服と機関銃』から『東京上空いらっしゃいませ』(90)までの相米慎二映画では、おそらく鈴木清順からもインスパイアされたと思われる、バロック的ともマニエリスム的とも呼べる、奇怪な空間造形が顕著になる(<バロック>は過剰に装飾された空間やオブジェ、<マニエリスム>は極度に凝った人工的な色彩・デザインのこと)。

 たとえば、「太っちょ」/三國連太郎のアジトの、宗教施設のような神殿風の造りの異様さはどうだろう(後述するように、実際「太っちょ」はある種の“神の代理人"を僭称している)。

 ――海に面したその奇態なアジトには、前衛アートのような赤、青、金色などに塗られた球体や方形のオブジェが置かれており、しかもヤクザの組員というより、まさしく怪しげな新興宗教の信徒のような、スキンヘッドで悪相の者らが配置されている。

相米 慎二拡大相米慎二
 そして、そこで展開されるのが、これまた実に奇っ怪なドラマである。

 捕えられた泉は、前述のごとく、地雷の上に立たされるという過酷な拷問を受けるし、その後、「太っちょ」の娘・マユミ/風祭ゆきとともにドレスに着替えさせられた泉に、ディナーとして出されたのはなんと猿の

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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