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[2]『政治の眼力』で政治家は喜んでる?

今の政治家を語るには当然のやり方だと思う、んだが……。

青木るえか エッセイスト

 なんか不思議な本ですよこれは。

 永田町の「快人・怪物」というとイメージは大野伴睦とか三木武吉とか……どんだけ古いねんて言われそうだが。でも昔、伊豆かどっかの神社で、「大野伴睦先生奉納」という巨大な、身長ぐらいある飴色に光る木製の男根を見たことがあり、岐阜羽島駅前の銅像なども相まって「ザ・政治家(=与党政治家)」といえば大野伴睦なんです。

 で、永田町にうごめく政治家たちの魅力や悪やアクを書いた本というのは昔からありまして、戸川猪佐武とか大下英治とかがいっぱい本を出している。

 今ふと、アマゾンで戸川猪佐武を調べてみたら、どういうわけか「コミック・ラノベ・BL:戸川猪佐武」などというカテゴリーが出てきて笑ってしまった。もちろん戸川猪佐武がそういう本を書いてるわけじゃないが、戸川の描く昭和の自民党代議士なんて実にホモソーシャルな集団に見え、それに触発されて「田中角栄と竹下登と小沢一郎」とかで同人誌つくるやついるよなあ。私は宮沢喜一で一本読みたい。

 何かこう、与党政治家というのは、老獪で強欲で悪さもするが人間的魅力に溢れていて大きな仕事をする、という幻想がある。幻想というか、そうあってほしいというか。

 こないだ本屋で、田中角栄のムック本みたいなのが出ていて「なんで今ごろ角栄」と驚いたが、「大物政治家幻想」を満たしてくれる存在として田中角栄って絶妙の人だなと思いついて納得した。「あの頃の政治家はまだ骨があった」とか、角栄が死んだ今となっては安心して言える。

 で、この本を読んでみて挙げられている政治家のメンツが、載ってる順に麻生太郎、山口那津男、谷内正太郎、菅義偉、甘利明、安倍晋三、古賀誠、野中広務……と、まだ半分以上残っているのにこの名前の並びを見ただけで「これは昭和の政治家とはずいぶんちがっちゃってるな」と思わないわけにいかない。

野中広務拡大野中広務氏
 この中では野中広務がわずかに昭和の政治家臭があるけど、じゃあ昭和の政治家の中に混ぜたらどうだ、といえば「存在感ウスウス」になりそう。

 などというと、「近ごろの政治家は個性に欠けてつまらん」的に受け取られたらイヤなので大きな声で言っておくと、

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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