青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
師匠によって封じられる読者のツッコミ
又吉直樹の『火花』、もちろん「芥川賞、落ちてくれ!」と祈ってましたよ。これは私が、どんな場合でも「自分以外の人間の幸福を望まない」性格から来るもので、『火花』がダメな小説とか又吉さんの人格に問題があるということではない。そもそも読んでもいないのに小説の内容をどうこう言えない。
ただまあ、小説だけ書いてる人(とはいっても、小説一筋で食えないだろうから何かバイトなり仕事なりしてるに違いないのだが)のことを思うと、芸能系で名前が知られてる人が文学賞を取るというのは「遠慮してやってくれよ」と思いますねえ。
町田康の時も、全力で「落ちろー!」と念じたがダメであった。でも別に芸能活動してない川上未映子や綿矢りさも「落ちろの呪い」をかけたので、私は基本的に、顔のいい女流、には芸能系よりももっと厳しいのかもしれない。
私の願いもむなしく、又吉さんの『火花』は芥川賞を受賞してしまった。
肩を落としながらも、作品の評判なんかはネットで拾い読みすると、当然のことながら賛否両論である。
ただ、水嶋ヒロの賞取った小説よりはいい、ということはみんな言ってる。思わぬところで引き合いに出されて水嶋ヒロが気の毒だが、まあ賞金たくさんもらったので言われるのも商売のうちと思ってください。
とにかく話題の作品であるから、できたら、読まないで、ネットの評判だけで評価を下したいところだったんだけれど、どうも賛否両論を見てるとどっちが正しいのかわからなくなり読むことにした。
いやーこれは……。
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