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[8]ネット動画と物真似好きな日本人

エグスプロージョンの「踊る授業シリーズ」、「それ全然わかんない」……

太田省一 社会学者

 いきなりで恐縮だが、本能寺の変は何年の出来事か覚えていらっしゃるだろうか? 

 そう、1582年である。ではその時の織田信長側の軍勢は何人だったか尋ねられたらいかがだろう?

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 そんな歴史の暗記事項を歌に織り込んだ動画「踊る授業シリーズ」で今注目度急上昇なのが、男性2人組のエグスプロージョンだ。

 シリーズ第1弾「本能寺の変」は、2015年3月末に公開されてからすでに1000万回以上の再生回数を記録している。

 「本能寺の変」

 その人気を受けて、「ペリー来航」、「島原の乱」、「関ヶ原の戦い」(いずれもhttps://www.youtube.com/user/eguofficialで視聴可能)と続編も作られた。

 最近流行のリズムネタのようにも見える。だが8.6秒バズーカーやバンビーノのように定番の決めポーズやギャグがあるわけではない。エグスプロージョンは、芸人ではなくダンスユニットだ。

 かつてテレビのダンス番組『スーパーチャンプル』で初代殿堂入りを果たしたという折り紙つきでもある。動画を見ていただいてわかるように、彼らの身体のさばきや動きのキレ、しなやかさは、素人が見ても十分すごさを感じさせるものだ。

 こうした試験に出るような暗記物を歌にする企画は、これまでなかったわけではない。森高千里の「ロックンロール県庁所在地」などは、ミニモニ。やDream5にもカバーされたので聞いたことがある人も多いだろう。

 このエグスプロージョンの「踊る授業シリーズ」もそうした流れをくむものである。メンバーのひとりが作ったという歌詞も、暗記事項とギャグがうまく配分されていて飽きさせない。

 だがメインはやはりダンスパフォーマンスだ。そしてそれはネット動画という視点にとっては重要なポイントになる。なぜなら、ダンスであることによって、多くの人がそれを真似するようになるからだ。

 実際、中高生などを中心に、すでにこれを素材にした「踊ってみた」動画がアップされている。

「パクる」ことのポジティブな意味

 今回考えてみたいのは、ネット動画の世界に広がるこうした模倣現象である。 ・・・ログインして読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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