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反ヘイトスピーチ本のフェアを開いて(上)

「あなたは、韓国や中国が日本を侵略しようとしていることを知らないのか!?」

福嶋聡 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店

 2013年あたりから、近隣国を不当に貶める書籍・雑誌、いわゆる「嫌韓・嫌中本」の出版が加速し、社会時事の書棚を席巻するまでになってきた。

 その風景を眺めながら「いかがなものか?」と思っていた2014年秋、ころからという変わった名前の出版社の新刊案内に『NOヘイト!――出版の製造者責任を考える』というタイトルを見た。

 ぼくは、大いに興味を持った。「嫌韓・嫌中本」の内容そのものもさることながら、そうした本が大量に出回っていることへの出版業界の人たちの考えについて知りたかったからだ。

 11月に刊行されるとすぐに読み、ジュンク堂PR誌『書標』に短い書評を寄せ、「出版社や書店員が抱きながら日常の仕事の中に埋没し蓄積した違和感が、ようやく一つの形となった」と書いた。

「反ヘイト本」のコーナーに本を並べるジュンク堂書店難波店の福嶋聡店長=大阪市浪速区2回目の「反ヘイト本」フェアで本を並べる筆者=ジュンク堂書店難波店
 『NOヘイト!』を中心に恒例の「店長本気の一押し!」フェアを始めたのが、2014年の12月の終わりだった。

 以前から関連書を出しているころからの本を中心に20点ばかりを集めたのだが、その中には「在特会」の桜井誠氏の本も2点入れた(『大嫌韓時代』『在特会とは「在日特権を許さない市民の会」の略称です!』(共に青林堂)。

 『NOヘイト!』の編集・発行人である木瀬貴吉氏とはじめてお会いした、12月14日大阪宗右衛門町でのトークイベント“日本の出版業界どないやねん!?物書きと出版社出て来いや!スペシャル”で、客席にいたぼくが発言を求められ、「ぼく個人としては、『NOヘイト!』を応援する立場を鮮明にしますが、書店人として、『在特会』側の本を排除することはしない」と答えた通りである(詳細はサイト)

 フェアの写真を木瀬さんに送ったら、木瀬さんはそれをフェイスブックで広めてくれた。

 年明けにすぐ「反応」があった。

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