2015年10月12日
『ミニオンズ』を製作したイルミネーション・エンターテインメント社CEOクリス・メリダンドリは、本作の特徴について次のように語っている。
「ディズニーやピクサーがストーリーを最も大切にしているとしたら、僕が最も大切にしているのはキャラクターなんだ」(「なぜファレルは『ミニオンズ』に参加しなかったのか? 同作プロデューサーにインタビュー」2015年7月30日付『Real Sound』)
『ミニオンズ』大ヒットの最大の根拠は、主人公であるミニオンたちの強烈な魅力にあることは間違いない。
ちょっと不気味で小さくて黄色いキャラクターの集団。ミニオンたちは、全員が溶接用ゴーグルで大きな眼(一つ目か二つ目)を覆い、デニムのオーバーオールを着て、3本指に黒手袋をはめ、厚底の黒靴を履いている。
ひたすらバナナを愛し、「バナナ」「ヤキトリ」など食物の単語以外は聞き取り不能の言語を話し、常に陽気にはしゃいでいる。
そんな彼らが、本国アメリカだけでなく日本の観客たちも魅了した。
トム・ウィリアムス会長兼CEOらの横に居たのは、ミニオンたちであった。
現在のUSJを代表するキャラクターは『ハリー・ポッター』のコスプレではなく、ミニオンの着ぐるみというわけだ。
USJは2015年3月にミニオンをテーマとした「ミニオン・プラザ」を新設、すぐに爆発的な人気となった。
パーク内には多数の着ぐるみミニオンが出没。ストリート・ショー「ミニオンフィーバー」を開催し、約110点の限定グッズを販売する「ミニオン・マート」も開店。シューティング・ゲームコーナーも登場した。ミニオンのポップコーンバケツは連日売り切れ、黄色い「ミニオンまん」も人気メニューだという。
6月の調査で全入場者の3分の1がミニオン関連商品を購入していると判明(「USJ、新しい仲間“ミニオン”が爆発的ヒット! 来場者の約3分の1が商品購入」2015年6月23日付『マイナビニュース』)。入場者によるミニオンのコスプレも盛んで、10月4日にはハロウィンイベント「コスチュームパーティ#仮装で熱狂」が開催され、ミニオンの黄色い仮装をした1500人ものファンで会場が埋め尽くされた(「USJ1日限りミニオン仮装で1500人の『スリラー』」10月4日付『THE PAGE』)。
もはや、ディズニー・ランドのミッキー・マウスのような、同スタジオ筆頭キャラクターの勢いである。
なお、USJは2015年度上半期の入場者数が過去最高を記録し、前年同期比4.8%減の「ディズニーリゾート」と明暗を分けた(「ディズニー減、USJ過去最高 東西で明暗―15年度上半期入場者」10月1日付『時事通信』)。「ミニオン効果」の影響も絶大であったと考える。
一方、NPO法人・バラエティクラブジャパンは、2016年2月の東京・大阪を皮切りに、参加型の音楽イベント「ミニオンズラン フェス」を全国主要6都市で開催する。参加者がミニオンの衣裳を着て自由にゴールを目指す企画だ。各会場で連日1万5000人の参加を予定しており、会場を黄色いミニオンたちで埋め尽くし、総計10万人の動員を目指す。9月22日から参加受付が開始され、多数の申込みがあるという。
開催は『ミニオンズ』公開から半年以上も先であり、おそらく興行は終了している。今後もミニオン人気を根付かせ、更に広げるためのファン大会とも言えよう。
また、大手玩具店やファンシー雑貨店では玩具・文具・ぬいぐるみ・小物など70点を超えるミニオングッズの販売コーナー(多くは輸入品)が新設され、幅広い世代の人気を博している。ゲームセンターのクレーンゲームも今やミニオンだらけだ。
このように、今や日本中で人気絶頂のミニオンだが、彼らには実は「下積み」と言うべき5年間の前史がある。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください