物語展開の妙など
2015年10月15日
『ジュラシック・ワールド』では、各場面がスムーズに連鎖していく展開――いわばダレ場がつねにヤマ場への導線になる――ゆえ、観客の興味は途切れることがない。
たとえば終盤、脱走した狡猾残忍なインドミナス・レックスに洗脳(!)されかかったラプトルたちと、オーウェンは首尾よく意思疎通し、ラプトルたちは果敢にインドミナスに立ち向かってゆく(この展開の布石は、序盤の彼によるラプトルたちの飼い馴らし実験の場面)。
また、インドミナス脱走後の展開はといえば、
→安全圏に思われたエリアでジャイロスフィアを乗り回していたグレイとザックがインドミナスに遭遇、あわやというところでラグーンに飛び込み難を逃れる。
→その後インドミナスは翼竜園のフェンスを破壊し、空飛ぶ肉食竜どもを脱走させ、結果パークは大パニックとなり、前記のヘリコプター墜落その他の人命被害を出す。
→ラスト近く、クレアは最後の切り札としてティラサウルスをパドックから解き放ち、インドミナスと闘わせる。
→ティラノサウルスとラプトルたちを敵に回したインドミナスは、ラグーン沿いの崖っぷちに追い詰められた挙げ句、突如水中から躍り出たモササウルスの巨大な口に呑み込まれる(俯瞰ショット)。
このように、ティラノとラプトルがインドミナスに立ち向かい、それまで2度水中から現われたモササウルスが3度目の出現で物語に決着をつける、という鮮やかな展開だが、大まかに言って本作の物語は、<序破急>の繰り返しで描かれる(<序破急>は、「序」はゆっくり、「破」は中間、「急」は文字どおり速く展開する作劇のこと)。
なお3度目に出現するモササウルスは、以前より数倍くらい巨大化しているが、それはそれでリアリズムを突き抜けた、映画ならではの痛快な荒技だ。
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