2015年10月27日
ここからは新しく生まれ変わったカンヌ映画祭の「今後」を予想したい。
まず2015年の映画祭で観察できた、お祭り男ピエール・レスキュールによる「スポンサーと協同して映画祭を盛り上げようとする姿勢」は、今後も続行されるだろう。
これは表面的には、前会長ジル・ジャコブが敷いてきた現実路線の発展的な継承だろう。
だがよくよく考えると、これはレスキュールの意志というよりは、むしろレスキュールを新会長に選んだ時点で、映画祭として「今後も積極的に発展路線を目指していく」という意志表明であったと思われる。
そう思えるのも新会長選出の裏には、なかなか象徴的な選出劇があったからだ。
当然ながら、世界最高峰の映画祭であるカンヌの新会長という名誉の椅子は、国内の多くの業界関係者が狙っていた。
彼はこれまた、レスキュールとはあらゆる意味で対照的な人物だ。まず性格そのものが派手めなレスキュールに対し、彼は影で力を発揮する堅実派タイプ。
だが最も決定的な違いは、彼こそがこの30年来、アメリカ文化隆盛の波を受ける欧州文化を守るべく、多文化奨励に尽力してきた人物だったということ。
彼は
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