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笑いながら春画を見る、新しい時代が来た

日本も文化的にはようやく先進国並みに?

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

 「えっ、これすごい」「なんか楽しそうだよね」「男の人が優しそう」

 日曜の午後、そんな若い人たちの素直な声が混雑する展覧会場に響いていたのは、12月23日まで東京都文京区の永青文庫で開催中の「春画展」

鳥居清長の「袖の巻」(部分)拡大鳥居清長「袖の巻」(部分)

 通常、美術展の中心となる客層は、中年以上の女性だ。ところがこの展覧会は、休日では大学生や20代、30代が半分を超す。それ以外はかなり年配の老人も含めて、男女、同性のグループなどあらゆる世代にまたがっていた。「コギャル」風の若い女性も。混雑する展覧会でいつも中心となる中年女性のグループは意外に少ない。

渓斎英泉「あぶな絵 源氏物語拡大渓斎英泉「あぶな絵 源氏物語」
 若者を中心にみんなが春画を「キャッキャッ」と笑いながら見る光景を見ると、私には今回の「春画展」は、大げさに言えば日本の新しい文化的地平を切り開いたような気がした。

 実は、あらゆる世代が集った国会前の安保法案デモさえ思い浮かべた。

 この展覧会のもとになったのは、2013年10月から翌年初めまでイギリスの大英博物館で開かれた「春画:日本美術の性と快楽」(Shunga: Sex and Pleasure in Japanese Art)である。

 多くが日本から出品されたこの展覧会を日本でも開催できないかという声は、筆者も耳にした。

 ところが大英博物館の春画展に尽力し、今回の展覧会にも出品している画商の浦上満氏は、「20以上の美術館に断られ続けてきましたからね」と『美術手帖』の10月号で述べている。

 噂によれば、

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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。訳書に『魔術師メリエス――映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)、共著に『日本映画史叢書15 日本映画の誕生』(岩本憲児編、森話社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

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