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必見! 草野なつかの『螺旋銀河』(下)

独特の間合い、ショットの強度など

藤崎康 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

 前回も述べたように、『螺旋銀河』でスリリングに描かれるのは、共同でラジオドラマの脚本を書いていく、綾と幸子の変転する関係であり、その描写のスリルは、ときに二人が意思の疎通を欠き、葛藤することで増幅される。

 では草野なつかは、こうした二人の関係のドラマをどのように演出しているのか。

螺旋銀河拡大『螺旋銀河』
 まず注目すべきは、草野が、二人の感情や思いを、彼女らのセリフや表情だけで表そうとはせずに、セリフが発せられる前後の間合い=沈黙によって、じつに繊細につかまえていることだ。

 たとえば、二人が偶然出会う冒頭での、社員証によって互いの名前を知る彼女らのやりとりは、

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筆者

藤崎康

藤崎康(ふじさき・こう) 映画評論家、文芸評論家、慶応義塾大学、学習院大学講師

東京都生まれ。映画評論家、文芸評論家。1983年、慶応義塾大学フランス文学科大学院博士課程修了。著書に『戦争の映画史――恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書)など。現在『クロード・シャブロル論』(仮題)を準備中。熱狂的なスロージョガ―、かつ草テニスプレーヤー。わが人生のべスト3(順不同)は邦画が、山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壺』、江崎実生『逢いたくて逢いたくて』、黒沢清『叫』、洋画がジョン・フォード『長い灰色の線』、クロード・シャブロル『野獣死すべし』、シルベスター・スタローン『ランボー 最後の戦場』(いずれも順不同)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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