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丸善ジュンク堂の対応は商道徳に反する(上)

従業員の「闘う」ツイッターは社内問題

中川右介 編集者、作家

 MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店で9月20日頃から「自由と民主主義のための必読書50」というフェアが開催されていたが、10月21日に「一時撤去」される事態になった。

 同店の店員が19日に、「非公式」に開設したツイッターアカウントで、「夏の参院選まではうちも闘うと決めましたので!」「闘います。うちには闘うメンツが揃(そろ)っています。書店としてできることをやります!」などと発信したところ、闘う相手として安倍政権を想定しているとして「選書が偏向している」といった批判が寄せられたらしく、20日にその非公式アカウントが削除され、21日夕にフェアの棚が撤去された。

丸善ジュンク堂書店」HP拡大「渋谷店における一部のツイート及びフェアについて」の「お知らせ」を掲載した丸善ジュンク堂書店のホームページ
 以上が「事件」のあらましだ。

 同時期、憲法や安保法制についてのシンポジウムなどの開催が自治体や大学で断られる事件も相次いでいたので、「政権批判がしにくい世の中」になったいう一例として、話題となった。

 「丸善ジュンク堂書店」HPには、「先日より弊社店舗におけるフェアについてさまざまな意見を頂戴しており」とある。

 そして「そのこの度、弊社従業員による私的なツイッターアカウントより、特定の意見を支持するツイートがありました。これは弊社の公式な意思・見解とは異なる内容です。」とし、ツイート発信の経緯を調べ、「コンプライアンス違反が認められた場合は社内の規定に則り適切に対処致します」、さらに「弊社方針のもとフェア自体は継続してまいりますが、本来のフェアタイトルの趣旨にそぐわない選書内容であったため、現在その内容について精査し選書を見直して再開する予定です」とある。

あまりにも「迅速な対応」

 丸善ジュンク堂は公にはしていないが、フェアのテーマとツイートの内容からして、抗議してきたのは保守・右翼勢力だろう。

 もう20年以上前になるが、当時「新右翼のリーダー」だった鈴木邦男さんから、「どうして出版社は左翼が喜ぶ本ばかり出して、右翼が喜ぶ本を出さないんです?」と質問されたことがあり、私は「 ・・・ログインして読む
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筆者

中川右介

中川右介(なかがわ・ゆうすけ) 編集者、作家

1960年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2014年まで出版社「アルファベータ」代表取締役として、専門誌「クラシックジャーナル」、音楽書、人文書を編集・発行。そのかたわら、クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲などについて、膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる独自のスタイルで執筆。著書は『カラヤンとフルトヴェングラー』『十一代目團十郎と六代目歌右衛門――悲劇の「神」と孤高の「女帝」』『月9――101のラブストーリー』(いずれも幻冬舎新書)、『山口百恵――赤と青とイミテイション・ゴールドと』『松田聖子と中森明菜――一九八〇年代の革命』(ともに朝日文庫)、『戦争交響楽――音楽家たちの第二次世界大戦』『SMAPと平成』(ともに朝日新書)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『角川映画 1976-1986(増補版) 』(角川文庫)、『怖いクラシック』(NHK出版新書)など50点を超える。

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