“もののあわれ”の映像化
2015年11月23日
優介と瑞希は3つめの場所に向かう途中、1通のハガキをめぐって口論となる。それは生前、優介が関係を持っていた女性、朋子(蒼井優)からのハガキだった。
もう終わったことだ、と言う優介に反発した瑞希は、東京に戻り、朋子に会うが、意地を賭けた女同士の対決シーンがサスペンスを醸す。
だが彼女らのやりとりは、その抑えられた口調ゆえに、かえって息詰まるような緊張を生むが、シーンのラスト、二人のどちらが口角をかすかに上げて「勝つ」のかは、見てのお楽しみ。
しかしこの一件も、瑞希と優介の道行きにおいては小波乱にすぎなかった。
瑞希は優介を許し、二人はさらに旅を続け、山奥の農村へ行く。
そこで優介は塾を開き、村人たちにいろいろなことを教えていたのだが、二人が世話になる農家には、息子タカシ(赤堀雅秋)を2年前に亡くした父(柄本明)と、タカシの妻・薫(奥貫薫)、一人息子の良太少年が暮らしていた。
そしてこのパートでは、やはりこの世に未練を残していたタカシが幽霊となって登場し、妻との葛藤のドラマを演じたのち、あの世へと帰還するが、それを目にした瑞希と優介は、改めて死者と生者との因縁に思いを致し、さらには自分たちの旅も終りが近いことを予感する。
旅の終着点で
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