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古舘伊知郎さん降板とテレビ界の危うさ

国谷裕子さん、岸井成格さん……一連の降板騒動は偶然ではない

篠田博之  月刊『創』編集長

「報道ステーション」は“普通のニュース番組”に?

 年末のメディア界を襲った一番衝撃のニュースといえば「報道ステーション」キャスター古舘伊知郎さんの降板だろう。

「報道ステーション」キャスターの古舘伊知郎さん拡大「報道ステーション」キャスターの古舘伊知郎さん
 週刊誌が報じているが、同番組は12月23日が年内最終放送で、終了後に毎年恒例の忘年会が開かれた。

 朝まで飲んでいたスタッフも少なくなかったらしいのだが、それら関係者は翌日、ネットのニュースなどで古舘さん降板の発表を知り、愕然としたという。

 『週刊文春』1月14日号「古舘『報ステ』降板 本誌だけが書ける全真相」によると、23日夜、古舘さんが忘年会を終えて帰宅したあと、篠塚浩取締役報道局長が、番組プロデューサーら幹部数人を呼んで、降板の話を伝え、「明日10時に発表する」と告げたという。

 古舘さん本人が会見で明らかにしたように、既に2015年夏に局側に降板を申し入れていたというのだが、正式に決定したことは一部の役員にしか知らされていなかったようだ。

 その後1月8日、テレビ朝日は、後任のメインキャスターに富川悠太アナをあてることを発表した。

 久米宏さんの「ニュースステーション」や古舘さんの「報道ステーション」は、メインキャスターが歯に衣着せず権威権力にズバズバ物申すというのを売りにしてきたのだが、富川アナは局員だからそういう特性は薄れざるをえない。

 現場を飛び回る富川アナの奮闘ぶりを好感を持って見てきた視聴者は多いと思うし、4月以降がんばってほしいとは思うのだが、今回の選択は、この番組が“普通のニュース番組”になってしまうことを意味するから、その点は残念だ。

 局側としても、とりあえず富川アナで様子を見て、視聴率の動向などによって次の展開を考えようという方針なのだろう。

 『週刊現代』1月16・23日号は「古舘伊知郎惜しまれずに退場」という少々意地悪な記事を掲げており、古舘さんは実はテレ朝では「裸の王様」で、辞めてよかったという声も多いと書いている。

 確かに古舘さんはこだわりの人で、現場から上がってきた原稿を彼の一存でボツにしたりということもあったようだから、「ワンマンだ」と反発する声も報道局にあったようだ。

 ただ、この記事が書いているように「『辞めてくれて清々した』という意見のほうが多い」というのはうがった見方ではないだろうか。古舘さんのこのタイミングでの降板については、たぶん局員や関係者もいろいろ複雑な思いで見ているに違いない。

「大変な綱渡り状態」の12年間

 週刊誌やネットでは、古舘さんとテレ朝の早河洋会長との関係がぎくしゃくし始めたのが遠因だという指摘が多い。つまり早河会長が安倍政権寄りになったことで両者の関係にすきま風が吹き始めたらしいという見方だ。

 たぶんそれは背景としてあると思うが、そういうことも含めて古舘さんとしては会見で「ものすごく不自由な12年間」だったと語ったのだろう。

 2015年3月の古賀茂明さんの事件が要因と短絡的に捉えられることを怖れてか、古舘さんは、その件はいっさい関係ないと否定したが、あの事件で古舘さんのとった立ち位置は象徴的だった。

 古賀さんが生放送中に爆弾発言を始めた時、古舘さんは必死に局の立場に立って事態収拾を図ろうとした。確かに番組のメインキャスターとはそういうものであるのだが、期せずしてそういう立場に立たざるをえなかった自身に、古館さんが不自由さを感じたのは確かだろう。

 会見で「不自由な12年間でした」という発言の後にこうも述べていた。「言っていいことと、悪いこと、大変な綱渡り状態で、一生懸命頑張ってまいりました」

 古賀さんの事件で明らかになったように、この1年余、安倍政権からの揺さぶりを受けて、テレ朝は揺れ動いていたから、そういう状況下で、局の顔という立場で発言を続けることに思うところがあったのだろう。

 もう2年前から辞めることを考えていたという発言もあったが、たぶんこの1年余のテレ朝をめぐるいろいろな動きが背中を押したのは間違いないと思う。

「クローズアップ現代」と「NEWS23」

 さて冒頭に古舘さんの降板を「衝撃のニュース」と書いたが、それは、このタイミングでのこの事件が大きな意味を持つ可能性があるからだ。 ・・・ログインして読む
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