勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
2015年末、お笑いコンビ「キングオブコメディ」の高橋健一容疑者が東京都世田谷区の都立高校に侵入、体育館の更衣室から制服を窃盗するという事件が起きました(1月21日、別の高校での事件で再逮捕)。
高橋容疑者はおよそ20年にもわたり犯行を繰り返し、自宅からは大型のポリ袋約70袋、計600着もの制服が出てきたとのこと。有名人によるこれだけ大規模な窃盗事件ということもあって、世間を大きく騒がせたかと思います。
高橋容疑者による窃盗の事例に限らず、女子中高生が犯罪の対象になってしまっている事例は枚挙に暇がありません。たとえば、警察庁発表による強制わいせつ罪の被害者も過半数が未成年に対するものです。
首都圏の通学電車では制服を着用した女子中高生をターゲットにした痴漢被害が毎日のように発生しているでしょう。
「痴漢被害に遭うのは決まって学生服の時で、私服で被害にあったことはほとんどない」というような証言をする女性も少なくありません。
インターネットを見れば、盗撮された制服姿の女子中高生の写真がごまんと出てきます。
また、JKリフレ(女子高生が行う密着度の高い簡易マッサージ)など、女子高生に準性的なサービスを提供させる一連の「JKビジネス」も、警察と事業者のいたちごっこが続いています。
援助交際も以前ほどの勢いはありませんが、「JKお散歩」(アメリカ国務省より人身売買として指摘されている)などを通して、依然根強く残っているのが実情です。
このように、女子中高生と彼女たちを象徴するスカートタイプの制服が性的アイコンとして受け止められてしまっており、日常生活において一部の人たちによる性的なまなざしが彼女たちに注がれ続けているのです。
三次元・二次元のポルノコンテンツの多くも、学校制服を着ている女性が多くいることは、まさにその証左と言えるでしょう。
このような状況にもかかわらず、依然多くの学校がセーラー服やブレザーを制服として採用していることに対して、私は疑問を感じざるを得ませんでした。
なぜ、性的アイコンと化した服を強制的(または半強制的)に着せることを平気でしているのでしょうか?
むしろ学校をはじめとする学校制服を肯定する大人たちが、女子中高生が制服に起因する犯罪被害に遭うことを助長しているのではないでしょうか?
そこで今回は「痴漢等の性犯罪やJKビジネス対策としての学校制服廃止論」を展開したいと思っています。
(1)では他の制服と学校制服の比較を行い、(2)と(3)では予想される反対論について検証し、(4)では高橋容疑者の事件から見えた性犯罪を軽視する世論の問題についてそれぞれ見て行きたいと思います。
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