勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
[1]では、「痴漢等の性犯罪やJKビジネス対策としての学校制服廃止論」の概要について論じてきましたが、[2]と[3]では、予想される反対論に対して、Q&A方式で一つ一つ論じて行きたいと思います。
連載 学校の制服はもう廃止しよう [1]痴漢・性犯罪、制服被害を放置する学校
Q.制服には生徒の非行を予防する効果があるのでは?
A.確かに学校制服は、大人が子供の犯罪や非行を予防するということを期待されて導入されている側面もあるかと思います。
制服を着ていることでどこの学校か特定されますし、それが非行に対して抑圧的に働いたということは、以前は多くあったはずです。
ところが近年、非行に走る若者は激減しています。2000年の少年法改正などの影響もあり、ここ15年で半減以下になった犯罪も多くあります。
男子では暴走族の姿を見かけることもほとんど無くなりました。女子でも「ギャル」と言われるような派手に遊ぶ人たちもかなり少なくなりました。
このように、学校外における犯罪・非行を防ぐという制服の使命は、かなり終わりに近づいているのです。
にもかかわらず、それを理由に制服存続を掲げることは時代錯誤ではないのでしょうか?
高校卒業から何年も経った大人たちが中学高校生活を送っていた時代背景と今の環境は全く異なります。
たとえば、近年は性別違和を覚える生徒(生物学上は女性)への配慮で女性用スラックスを用意する学校も、少ないながらも現れるようになりました。マイノリティーへの配慮が進むのは時代の流れとして当然と言えるでしょう。
是非、時代の変化を理解して、今の子供たちにとって防がなくてはならない重要な問題や守らないといけない利益は何かを、もっと真剣に考えて欲しいものです。
ちなみに、今回の記事は主に女子の制服を対象に論じていますが、このように強制することの無意味さが増加しているという問題は男子の制服にも当てはまりますし、男女平等の点からも、男子も合わせて廃止にしたほうが良いと考えています。
Q.私服だと毎日選ぶのが煩わしいので、選ばなくて良い制服のほうが助かる人もいるのでは?
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