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SMAP騒動、「会社員」飯島三智さんが切ない

働く女性の先輩に、同じ働く女性として

矢部万紀子 コラムニスト

オーナー会社の厳しさ

 新聞社の経済記者として、小売業界を取材していたのは20年以上前だった。

 ダイエーの中内㓛さんをはじめ、創業者が現役社長という企業も多かった。どこも一部上場企業であり、全国に出店している巨大企業だったが、「オーナー会社」としての色合いが企業ごとに違うことは、30歳そこそこの私にも感じられた。

 創業者の個性が強いほど、その人をあがめたてまつる感が強いのは当然と思うが、創業者の親族(兄弟とか息子とか)が経営陣にいて、その人も含め「創業者一族でございます」感が強いところほど、社員が窮屈そうな感じがした。

 たとえば若くして役員になっている創業者の息子がいる某企業。

 彼が入社したもっと若いとき、その若き2世のことを、面と向かってでなくても「●●くん」と呼んでいた社員は、いまはみんな辞めている、などと解説してくれる部長(2世よりだいぶ年上。もちろん一族ではない)などがいて、「なんか大変そうだなあ」と思った記憶がある。

 まあこちらは、自分は「放し飼いにされている」と信じて、社内で躾のできてない振る舞いを数々重ねた挙句、「なんだ、放し飼いでもないのか」とやっと気づいたおっちょこちょいである。オーナー会社の大変さなど、現実にはほとんどわかっていなかった。

 それから幾星霜。55歳になって早々の本年1月、オーナー会社で働くという厳しさをこのような形で知ることになるとは。

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 そう、ジャニーズ事務所というオーナー会社に勤めていた飯島三智さん(58歳と報じられている)のことだ。
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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『美智子さまという奇跡』(幻冬舎新書)、『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。最新刊に『雅子さまの笑顔――生きづらさを超えて』(幻冬舎新書)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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