勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
今回も前回に引き続き、「痴漢等の性犯罪やJKビジネス対策としての学校制服廃止論」への予想される2つの反対論に対して、論じて行きたいと思います。
連載 学校の制服はもう廃止しよう [1]痴漢・性犯罪、制服被害を放置する学校
連載 学校の制服はもう廃止しよう [2]時代の変化で意義を失う学校制服
Q.制服には社会階層を見えなくする効果があると思います。私服になれば社会階層が露わになり、イジメを助長することにもなりませんか?
A.大人になれば社会階層をあからさまに感じるようになります。資本主義を採用し続ける限り、社会階層が無くなることはありません。そのような状況の中で、本当に社会階層を見えないようにすることが、未来まで含めた子供たちのメリットになることなのでしょうか?
むしろ子供に制服を着せて社会階層を隠すというのは、臭い物に蓋をする思考による「その場しのぎ」の表面的な対応策でしかありません。
それゆえ、大人になっても異なる社会階層の人々とお互いを尊重し合うことができないままになってしまうことも少なくありません。
そのようにして社会階層の異なる人への不寛容な文化を作ることで、社会階層の固定化を一層助長しているとも言えると思います。
子供たちの未来を真剣に考えるならば、必要なことは「社会階層を見えないようにすること」ではなく、「様々な社会階層の人々がいる中でお互いを尊重し合うことを子供たちに伝えること」です。
以前、全員サングラス合唱祭の記事でも書きましたが、お互いの違いを認められる社会にするためには、違いは決して隠すべきではないのです。
「全員サングラス合唱祭」は本当に美談なのか?――少女を苦しめる真犯人は美談好きな大人たち
そもそも制服の廃止によって社会階層が露わになりイジメが増えるということ自体にも疑問を感じます。
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