勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家
1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら
最後に、キングオブコメディの高橋健一容疑者の制服窃盗事件の話に戻り、女子生徒に対する性犯罪を軽視する世論の問題点について見て行きましょう。
連載 学校の制服はもう廃止しよう [1]痴漢・性犯罪、制服被害を放置する学校
確かに20年も窃盗を繰り返した高橋容疑者にかなり問題があるのは事実ですが、日本における未成年女性に対する性的なまなざしと、痴漢等の現実の性被害というのは決して異常な風景ではなく、日常の風景になってしまっています。
それを助長しているのが、世論による女子中高生に対する犯罪の扱いです。
たとえば、高橋容疑者のニュースに対して、三村マサカズ氏がTwitterで「駄目だよ。常に相方のことも考えないと、君一人の人生じゃない」と発言したことには大変疑問を感じました。
何か犯罪が起こった時にまず断罪するべきは行った罪自体であり、一番に配慮するべき先は被害者です。
ですから、「駄目だよ。盗まれた人のことも考えないと」と言うべきところを、真っ先に「相方への配慮」「相方に迷惑をかけた罪」が来てしまっています。
そしてそれが「良いことを言った」としてネットニュースでもてはやされるのです。なぜ、このように被害者スルーをするのでしょうか?
これは、「犯罪は良くない。だからしてはいけない」よりも「犯罪をすると身の回りの人たちに迷惑をかける。だからしてはいけない」ほうが先に来ているわけです。
もちろん三村氏に悪気はないのでしょうが、彼の言葉が物語っているように、善悪よりも他人への迷惑がかかるかかからないかを重要視する、悪い意味でいかにも日本人らしい感覚なのです。
ですが、こうした考え方は非常に危険です。
というのも、
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